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学会誌「品質」
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JSQCニューズ 2018年6月 No.365

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■トピックス: 公益社団法人への移行に向けて −臨時総会開催報告−
■私の提言: 品質不祥事問題と公益社団法人を目指す 日本品質管理学会の覚悟
・PDF版はこちらをクリックしてください →news365.pdf

トピックス
公益社団法人への移行に向けて −臨時総会開催報告−

一般社団法人日本品質管理学会 第47年度会長 小原 好一

公益法人化の目的
 一般社団法人日本品質管理学会は、第47年度の事業計画に記載の通り公益社団法人化に向けた準備を進めておりますが、その名の通り公益化は「社会信頼性の向上」に寄与します。元来より、品質管理学会は公益に資する事業を推進しておりますが、名実共に公益事業を展開するために公益社団法人化を目指します。
 加えて、公益社団法人化を通して「財務基盤の強化」を図ります。具体的には、「寄付金優遇税制の活用」などにより、会費、行事参加費に続く運営資金の確保に向けた施策を推進します。

申請書提出の前提となる定款改定
 なお、申請に向けた準備は、公益化特別小委員会が主体となり、税理士法人野総合会計事務所のコンサルティングを得て概ね計画通りの工程で進め、公益認定基準となる「財務3基準(収支相償、公益目的事業費率、遊休財産額)」などへの適合を精査の上、本年5月28日に内閣府に申請書を提出致しました。また、申請に先立ち、定款を公益法人の認定基準に合致させることが前提となることから、5月26日に臨時総会を開催し、定款の改定についてご審議を頂きました。

審議結果の報告
 臨時総会では、誤記に関する指摘に加えて、定款第11条の改定に伴い未納の会費の納入完了まで退会届の受理を保留することが可能になることに対し、「会費入金増を目的とした引き留めがないように明文化しておく必要がある」旨のご意見を頂き、会長一任で趣旨を反映する運びとなりました。また、総会決議後に内閣府より修正指示のあった場合は、会長一任で対応する旨を含めて、議決に至りました。
 なお、会費未納者への対応に関する具体的な手順は「資格審査内規」5項に定められており、期限は2年間と明文化されていることを確認しました。 従って、この取り扱いを適切に実行することにより、ご指摘の点は回避できるとの結論に至りましたことを、この場をお借りしてご報告致します。

公益法人移行の見通し
 公益認定に関する標準処理期間は4か月と定められており、認定書受領後、公益法人設立の登記日を以って公益法人へ移行します。従って、早ければ第48年度の事業開始日となる平成30年10月1日より「公益社団法人日本品質管理学会」としての運用を開始しますが、現時点では未確定のため、認定書を受領した段階で、移行日を含めて改めてご報告させて頂きます。

移行に伴うリスクへの対応
 今後は、会計基準の変更に伴う諸規則の改定、および会計担当者への説明などを順次進めてまいりますが、その際に、コストの増加、業務負担の増加といったリスクを想定し、対策を講じる必要があると受け止めております。
 先ず、公益申請及び移行にかかわる予算に関しましては、第46年度に「公益法人化費用」として計上済であり、現段階では新たな出費は生じないと見込んでおります。
 続いて、業務負担に関しましては、会計システムなどの移行に伴う一時的な負担の増加を最低限に留めつつ、移行後の会計業務のスリム化を進め、トータルで業務負担の増加を防止するべく注力します。  
 また、公益法人認定後は行政庁の立入検査を伴いますが、適正な会計処理を進めていれば当然ながら支障はなく、コンプライアンス遵守、ガバナンス強化の観点でプラスになると認識しております。

JSQCの目的の実現に向けて
 公益社団法人への移行を通して、本学会の目的である「品質管理に関する学理及び技術の進歩発達を図り、もって学術、産業、社会の発展に寄与すること」の実現に向けて、さらに充実した事業を展開するべく、私自身も全力を尽くしますので、会員の皆様のより一層のお力添えをお願い申し上げ、報告の結びとさせて頂きます。


私の提言
品質不祥事問題と公益社団法人を目指す
日本品質管理学会の覚悟

(株)キタック 顧問 末岡 徹

 昨年後半から現在に至るまで、品質管理以前の逸脱行為も含めて多くの品質に関する不祥事が相次いでいる。そしてそのたびごとに企業のトップが謝罪し、二度とこのようなことが発生しないよう努力することを表明している。日本品質管理学会(JSQC)と、日本科学技術連盟、日本規格協会はこのような事態に危機感を強め、2018年2月21日、早稲田大学小野記念講堂で品質に関する緊急シンポジウム「品質立国日本を揺るぎなくするために―品質不祥事の再発防止を討論する―」を共催した。シンポジウムでは、問題の重要性を意識する人々で会場があふれ、パネルディスカッションでは、企業トップのリーダーシップや経営層の品質に関する意識の重要性が強調された。そして最近の品質に関する不祥事について、問題の本質は何か、問題を防ぐために組織や社会が取り組むべきことは何かをテーマに活発な意見交換が交わされた。最後に、日本品質管理学会が、日本科学技術連盟や日本規格協会をはじめとした品質経営の志を共にする団体との連携を深め、経営層に訴求する活動を展開することが確認された。すなわち、JSQCは、学会として品質不祥事問題に対して正面から取り組むことを宣言したことになる。  
 一方、日本品質管理学会は、2018年 5月26日臨時総会で一般社団法人から公益社団法人に変わることを決めた。今回JSQCが目指している公益社団法人は、実に明治以来110年ぶりに民法で規定する公益法人制度が廃止され、まったく新しい制度の下で再発足したものである。公益社団法人は従来の主務官庁を離れ、民間非営利部門の自治組織として自発的に公益活動をすることが求められている。品質不祥事問題の深部には、経済のグローバル化に伴う構造問題や、職業倫理を含む人材教育、そして品質管理の一部形骸化など多くの複雑な要因が潜んでいる。これらの難問を解決するためには、企業は、小集団改善活動の継続はもちろん、モノづくりの質、人づくり、組織づくりなどのマネジメントの質向上など、品質経営としての基盤戦略活動が強く求められる。そして日本品質管理学会は、困難だが最重要な課題に挑戦する覚悟、すなわち公益ともいうべき国民の共通目標「品質」に今正面から向き合う覚悟が求められていると私は思う。


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