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学会誌「品質」
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JSQCニューズ 2013年 9月 No.327

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■トピックス:今年も11月に品質月間が!!
■私の提言:理論的アプローチを大切に(証明しましょう!)
・PDF版はこちらをクリックしてください →news327.pdf

トピックス
今年も11月に品質月間が!!

広報委員会 委員長 大藤 正

 品質管理活動は確実に品質を保証するために、企業にとって欠くことのできない活動である。その対象が製品であれ、サービスであれ、知識であれ、情報であれ、システムであれ、プログラムであれ、提供する財の価値を保証する必要がある。

〇品質管理に関連する社会活動
 この提供財の価値を保証するための品質管理活動は地道な活動であり、今年で第54回目を迎える品質月間が今年も再来月の11月1日から30日の間に「価値ある品質で新たな成長を!」をテーマに様々な活動が展開される。日常の品質管理活動としては、全国的な規模で各地において実施されているQCサークル活動の発表大会を始め、QC検定や各種品質管理講習会があるが、来月の10月には7地区で開催される「標準化と品質管理地区大会2013」とあわせて「標準化と品質管理全国大会2013」が工業標準化推進月間に都市センターホテルで開催される。そして、11月の品質月間には「クオリティフォーラム2013」が日本教育会館で開催される。
 標準化と品質管理全国大会2013は、10月3日、4日の2日間、「日本再生と新たな価値の創造 ―ジャパンクオリティで飛躍と成長 ―」をテーマに開催され、2件の特別講演と、「品質」「標準化」「リスク(安全・安心)」「ひとづくり」「グローバル対応」の5カテゴリーに分かれて5会場で20の講演がなされる。詳細については日本規格協会のWebサイトに掲載されている。
 クオリティフォーラム2013は、11月28日、29日の2日間、「価値ある品質で新たな成長を!〜日本品質にさらなる磨きをかけて!〜」をテーマに開催され、企画Session講演と一般事例発表、日本品質奨励賞受賞報告講演会が予定されている。プログラムの詳細については、日本科学技術連盟のWebサイトに掲載される。

〇維持と改善
 Kaizenを提唱した今井正明氏は、「カイゼン(増補改訂版)」を2010年に上梓したが、維持活動と改善活動の両者を繰り返すことの重要さを説いている。管理のサイクルであるPDCAは、維持管理活動としてのSDCAのサイクルから始められ、改善管理活動であるPDCAのサイクルへとサイクリックにつながっていく。この維持活動の期間でも小改善はなされるが、SDCAサイクルとPDCAサイクルは車の両輪の如く回し続けられなくてはならない。
 しかしながら昨今のニュースでは、航空機や化粧品の問題、トンネル内の天井崩落の事故などSDCAサイクルによるメインテナンス活動が行われていないことによる問題点が報道機関によって指摘されている。社会からの指摘を受けるまでもなく、企業はメインテナンス活動の重要性を十分に認識してはいるが、活動が形式的な行動として、いわゆる事務的な処理になってしまっているのではないだろうか。
 品質管理業務を担当している組織構成員が、価値保証活動の重要性を認識して作業しているか、そうではないかによって結果に大きく影響する。このことは、仕事に対するモチベーションがDaniel H. Pinkのモチベーション2.0であるのか、モチベーション3.0であるのかということに関係する。モチベーション3.0とは「自分の内面から湧き出る「やる気!(ドライブ)」に基づくOS。活気ある社会や組織をつくるための新しい『やる気!(ドライブ)』の基本形」といわれているが、内発的動機付けが仕事の結果に多大な影響を与える。また、Richard Floridaは「クリエイティブ・クラスの世紀」の中で、日本はクリエイティブ・クラスの人財が多い国といっているが、本来のQCサークル活動を行っている人達は正にクリテイティブ・クラスであると考えられる。
 地道なメインテナンス活動が重要であるにも関わらず、改善活動に終始してはいないだろうか。来月から始まる工業標準化推進月間、11月の品質月間を機に、維持と改善のあり方を再考する必要があるのではないだろうか。


私の提言
理論的アプローチを大切に(証明しましょう!)

神戸大学 稲葉 太一
 私は、神戸大学人間発達環境学研究科准教授の稲葉太一です。大学では、数理統計学実験計画法の講義を担当しております。実は私は、多くの方から「証明マニア」と呼ばれているほどの、無類の証明好きです。講義を行うたびに、理解できないと言われ、講義アンケートも良かった事がありません。
 私の性格として、正しいことが何なのか、はっきりさせたい気持ちが強いため、また、間違ったことを言わないために、証明を紹介しないときでも、自分では確認しながら講義を行っているのが現状です。このような性格を、融通の利かないマイナス面であると常に感じておりました。
 ただ、先日、私にとっては、私のこのような性格が、まんざらでもない、と感じる出来事がありました。管理図の限界線の計算には「管理図係数表」が用いられるのですが、この係数表には、微妙に数値の異なるものが数種類あり、試験問題に添付する際等、どの数値表を添付するのが良いか、悩ましい状況があります。そこで、正しい事を貫きたいと考え、どの数値表が望ましいのかを確認する事にしました所、多くの方々のご協力もあって、日本国内のみならず、国際的な統一に向けて動き出すことができました(詳細は、2013年10月「品質」に掲載予定)。
 もちろん、私が確認したと感じているだけですので、本当に正しいのかどうかは分かりません。しかし、「統計数値表(1972、日本規格協会)」の精神でもありますが、数値表は値だけではなく、その根拠として精度も含めた計算式を伴っていれば、誰でもが正しいかを確認できると思います。
 兎にも角にも、私のような非力な者が、このような大きな流れに関われた事は、望外の幸せであり、ひとえに、この偏った証明好きの性格の賜物です。日頃は、この性格が災いすることが多いのですが、今回ばかりは、偏った性格で良かったと思っています。
 世の中は、大変不透明であり、理論的なアプローチを行っていると、非常に回り道をしているとして否定的な評価を受けて悩んでおられる方も多いのではと思います。企業活動においては、企業の利益を産み出すことが優先される場面も多いでしょう。そんな中にあっても、是非、証明の大切さを忘れずに活動してほしいと思います。さあ皆さん、一緒に証明しませんか!


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