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学会誌「品質」
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JSQCニューズ 2009 3月 No.291

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■トピックス:QMS有効活用及び審査研究部会の活動について
■私の提言:何ができるかを問おうではないか
・PDF版はこちらをクリックしてください →news291.pdf

■ トピックス
  QMS有効活用及び審査研究部会の活動について

部会長 福丸 典芳
1.部会の機能
  当部会は次に示す機能を持っており、部会員の積極的な参画によってQMSに関する研究活動を定期的に行っています。
  (1)審査登録制度に関する情報の評価・分析、(2)審査登録制度に関するサポート技術の開発、(3)QMSの審査技術に関する要素の開発、(4)QMSの維持・改善に関わるツール及びガイドの開発、(5)会員同士の情報交換の場
2.部会の活動経緯
  当部会はQMS審査の質向上を目指し審査登録機関の協力を得て、2005年6月に設立しました。当研究部会のメンバーは、QMS審査員及びQMSの運営管理に携わっている組織の人々からなり、審査員の視点及び受審側の視点からの両面性を考慮した研究活動を開始しました。
  第一期活動は5つのWGで約2年間の研究活動を行い、シンポジウムや学会研究発表などを通じて、研究成果を報告し、一定の成果を得ることができました。しかしながら、QMS審査に関する制度の変更、審査の信頼性及びISO9001の運営管理が形式的に行われているなどの観点から見ると改善すべき課題がまだ数多くあるので、第一期の研究成果をもとにこれらの検討課題に対してさらなる研究が必要との認識をし、2008年6月から第二期活動を開始しました。
3.第二期活動の概要
  第二期活動は、次の6つの研究テーマに取り組んでいます。
  WG1は、前期からの継続研究テーマである「QMS有効性の向上に役立つ審査」(QMS審査技法シートの開発や有効性審査に関する研究)、WG2は「次世代対応のQMS構築と審査技法」(組織環境に対応したQMSの運営方法とIT化に対応した審査技術に関する研究)、WG3は「プロセスの順序と相互関係の表わし方」(組織にとってプロセス及びその関係性はどのように考え、どのように論理的に体系づけるべきかに関する研究)、WG4は「マネジメントの原則から見た統合審査技術」(QMS及びEMSの強み・弱みの評価方法やプロセスの見える化などの審査技法に関する研究)、WG5は「ISO9001経営層、推進組織(管理責任者、事務局の役割も含む)のあり方」(組織の成熟度に応じたISO9001活用の役割とその方法論に関する研究)、WG6は「マネジメント原則の本質の研究、マネジメント原則に基づいたQMS(マネジメントシステムの基盤として)の研究及びこれらの普及」(マネジメントシステムの8原則とISO9001との関係に関する研究)に関する研究活動を行っています。これらの研究会のアウトプットとしては、研究発表会への参加、シンポジウムでの発表、又は書籍の出版などを通して、研究成果を公表していく予定です。
  現在、研究活動は、1回/月の土曜日の午後に行っており、その進め方は、各WGのリーダーを中心として、それぞれの研究テーマに基づいて研究メンバー各自が調査・研究した内容についてWG内で発表・議論し、そこから得られた新しい概念や方向性を取りまとめ、さらに精度を向上させています。これらの内容は部会内で定期的な発表を行い、他の部会メンバーからの意見を集約し、さらに研究を進めています。今期は2009年3月に部会内での報告会(非公開)を開催する予定です。なお、学会員に対しては、第二期の研究内容に関して中間報告を行う目的で、2009年5月に開催される第89回研究発表会で発表する予定です。
  部会メンバーの時間的都合や研究するテーマが提案されなかったことで、第二期の研究テーマに参加できない部会メンバーは、QMSに関するトピックスについての年2回程度の特別講演への参加や部会内での発表会へ参加することで部会活動への参加をしています。昨年は、ISO9000ファミリーの規格開発動向についての講演、また、今年1月にはISO17021に関する動向についての講演を開催しました。
4.当部会メンバーへの参加のお願い
  以上のような研究活動を通じて、QMSの発展につながることが当部会の使命と考えていますので、賛同される方がいらっしゃいましたら当部会への参画をお願いします。




■私の提言
 何ができるかを問おうではないか

前田建設工業(株) 村川 賢司

挑戦する人たち
 世界同時不況の震源地となった米国で、オバマ氏は“Yes, we can !”に象徴される旗印のもとで大統領選へ臨んだ。そして、100年に一度と称される経済危機打開のために超党派で景気対策に汗する人たちの姿を映しだした報道に、人材の大切さを垣間見た。
 OECD(経済協力開発機構)は、国や地方自治体から教育機関へ公的に支出される予算のGDP(国内総生産)に占める割合が、加盟30カ国のうちデータがある28カ国中で日本が最下位であると2005年の調査結果を報じている。経営環境のきびしさに我を忘れそうな気配を察する昨今、“教育に始まり、教育に終わる”という文化のもとで長期的な視点から日本が拠り所とする人へ投資してきた教育の大切さを見失ってはならないと思う。
日常管理と方針管理
 日常の仕事の大半は各々の人が行うべき役割をきちんと果たす日常管理という基盤のうえで、経営戦略を実現するための方針管理が活きることは周知の事実である。品質にかかわる信頼感や安全を失うようなクレームや事故は、先が見通せない経営環境において致命的であり、このような時こそ足元をしっかり固める意志と施策が求められる。
品質マネジメントの原則
 品質を中核にした経営において重視する原則として、“顧客重視”、“リーダーシップ”、“人々の参画”、“プロセスアプローチ”、“マネジメントへのシステムアプローチ”、“継続的改善”、“意思決定への事実に基づくアプローチ”、“供給者との互恵関係”を世界が共有したことは重要な転換点を示唆した。この原則を、経営層から職場第一線、またすべての部署に浸透する品質管理教育を誰もが苦しいときにも忘れなければ、暗いトンネルから出たときの飛躍への強固な基盤となることは先人が教えている。
何ができるか
 ケネディ大統領は、東西冷戦の緊張下で臨んだ1961年の就任演説で米国民へ“あなたの国家があなたのために何をしてくれるかではなく、あなたがあなたの国家のために何ができるかを問おう”と呼びかけた。品質へ原点回帰し、“あなたがあなたの組織や社会のために何ができるか”を考え、そしてその志を実現できる人づくりに努めることが問われているのではなかろうか。


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