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本研究会は、研究内容を積極的に開示しており、上記3つの内容は、2017年9月開催の第115回研究発表会(関西支部)で発表を行った。すでに継続・新規の研究課題が挙がってきており今後も積極的に活動し、研究内容を発信していきたい。 ■関西支部 ダイナミックロバストマネジメント(DRM)研究会
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(1) | 2〜3カ月に1回の割合で研究会を開催する。研究会では産業界、学界から問題提起をいただき、ディスカッション、事例発表を行っている。 |
(2) | TQM/ISO/SE7活用についての提言や実践例を体系的にまとめ、特に2015年改訂のISOとTQMのロバストな運用についての検討を行い、成果を広く公開する。 |
(3) | 外部有識者による先進事例等の講演会の実施 |
(4) | 横断的に他の学会研究者らとの交流を通じた学際的な問題発見と解決 |
主査 永井 庸次(日立製作所)医療経営の総合的「質」研究会は産業界、医療界、アカデミア、病院の質研究者、企業の質研究者等が一堂に集まって、医療のTQMに関して政策提言や啓もう活動を実施している。この3年間は主に病院の生体情報モニタ(心電図モニタ、血圧モニタ、酸素飽和度モニタ)やナースコールの患者装着から発生している過剰で無駄で迷惑なアラーム信号に関する検討を各種生体情報モニタ・ナースコールベンダ、病院の臨床工学技士・看護師と一緒になって検討してきた。
米国では生体情報モニタのアラーム信号関連事故が多発した結果、国家的レベルで種々の取り組みと規制を行い、着実にその成果を上げてきている。一方、我が国では、医療機器に関する安全管理体制は薬剤などの安全管理と同様に医療法でも規定され、かつ薬機法として新たな法改正が行われているにもかかわらず、未だ、個々の医療者、看護師の献身的な努力と責任の下で遅々として改善が進んでいない。
研究会では、このような現状を踏まえ、産業界のアラームとの違いを含めて、研究会参加病院で生体情報モニタのアラーム信号に関する改善活動を3年間実施し、アラーム信号の実態の可視化、無駄なアラーム信号削減対策、アラーム信号に関する看護師の不遵守の実態、アラーム対応に関する看護師教育等を行ってきた。本年度はその成果を踏まえて、各種報告会、成書化など行う予定である。
また、研究会では、従来から電子カルテの普及に伴う有用性と危険性、電子カルテ情報を含めたデジタル情報と各種モニタリングシステムとの統合による医療のビッグデータ解析時代における課題(機械学習、深層学習、NLP、AI等)を検討してきた。しかし、5月13日に発生した世界的規模のランサムウエアは我が国でも被害があり、その脆弱性と情報の機微性・ハイリスク性の観点から医療界も早急に対策を構築する必要があり、今後、医療におけるサイバー攻撃対策にも研究の場を拡大していく予定である。
第W期45-47年度主査 岡部 康平(労働安全衛生総合研究所)信頼性・安全性計画研究会は、安全性管理が社会的問題として捉えられはじめた2006年に発足し、10年の節目を迎えました。現在は第W期の2年目に入ります。これまでの成果は、品質誌38巻第4号や43巻4号などで総括されており、最新の活動は2015年の第45回年次大会などで報告されております。
この10年間、研究会では信頼性・安全性を適切かつ確実に管理する体制の体系化、および、その具体的な方法論の開発について地道に取り組んできました。これまでに議論された安全問題は多岐にわたりますが、リコール、長期使用、経年劣化などが主要議題として挙げられます。これらの議題は、2011年の東日本大震災による未曾有の経験をへて、製品安全の範疇から社会インフラの安全性問題へと論点が押し広げられました。
この流れから研究会の主要議題には、BCM、想定外、好事例分析、レジリエンスなどが加わり、未然防止の観点から、社会インフラ全般が備えるべき品質の管理についても議論が活発になされました。今期は、これまでの討議を引き続き重ねつつ、新たに、これまでに得られた成果を活用するための、応用問題にも取り組みはじめております。
社会インフラの品質管理にまで視野を広げてみますと、高速道路の橋脚落下事故や電力自由化に向けた設備変更の不備など、社会生活の基盤を担う重要なインフラの管理問題が後を絶ちません。再発防止のために検討すべき課題は山積しております。その一方で、2020年の東京オリンピック開催に向けて、新規発展分野の社会インフラの整備が急速に進んでおります。
安全性を重視する品質管理において、新規インフラの開発は拙速ではないかと危ぶまれるほど目覚ましいものです。そのため今期は、新規分野の社会インフラで起きうる安全性問題を事前に予測し、未然防止のための方策を具体的に検討することにしました。注目している新規分野は小型無人空輸機(ドローン)の自動搬送システムと自動車の自動運転運行システムです。既にこの分野の専門家の方々から現状と課題をご講演頂くなどして、情報収集と議題検討を進めております。この取り組みが意義のある成果となるよう、微力ながらも研鑽を積む所存です。
主査 黒木 学(統計数理研究所)
2015年にテクノメトリックス研究会が設立されて20年を迎えました。議事録を見る限り、一度も休会することもなく1年に4回程度開催されてきたようです。したがって、 この「研究会だより」がみなさまの目に触れるころには92回の研究会が行われたころになるかと思います。そして、 順調にいけば、2018年には100回目の研究会を迎えることになります。私が主査を引き受けるにあたって、何人かの若手研究者に参加を呼びかけました。すでに、研究会の「実働部隊」として活躍していただいている方もおり、頼もしく思っているところです。この経緯については、品質管理学会誌に掲載予定の研究会活動報告に詳しく説明していますので、興味のある方はご覧ください。
本研究会は、「統計的手法を中核とした品質管理手法の開発・普及」を目指しています。3か月に一度、金曜日の夕方にメンバーが興味あるテーマを持ち寄り、それについて議論を行い、品質管理手法として確立できるかどうかを検討しています。本研究会の特徴の一つは、 統計的品質管理技術の数理的側面に関する研究を重視していることです。発足当初は、グラフィカルモデリングを大きなテーマとしていました。この研究テーマは、数多くの議論を経て、 統計的因果推論の理論的研究として変遷を遂げました。また、タグチメソッドに関する理論研究、特に、MTシステムの数理的性質の解明と改良にも取り組んでいます。一方、若手研究者の参加により、これまでにはなかった視点で話題提供や議論が行われることもあり、本研究会も徐々に再活性化しつつあります。
このように、テクノメトリックス研究会では、統計的品質管理技術を数理的な観点から検討するとともに、改良手法の提案など、数多くの議論を行ってきました。これらの研究成果については、シンポジウム、研究発表会、品質誌への論文投稿などをとおして広く公表してきたところです。今後も、わが国の品質管理活動の一助となるように努力していきたいと考えています。
グローバル品質管理教育研究会 主査 大滝 厚
副主査 立林 和夫
JSQCグローバル品質管理教育研究会(GQE研究会)では、海外に開発・生産拠点を展開する日本企業の「現地従業員に対する品質管理教育の課題」に関してJSQC賛助会員への調査を行いました。今回得られた調査結果とそこから得られた品質管理教育に関する要求事項を一般公開します。 調査結果→
主査 永井 庸次(日立製作所ひたちなか総合病院)医療のTQM七つ道具の公表以来、医療機関における生体情報モニタに関して主に議論している。米国では既に医療機器関連事故の中でアラーム事故が最多となっており、国をあげてその対策に取り組んでいる。すなわち、2014年6月までにトップはアラームシステムの安全を病院の最優先事項とし、2014年中に管理する必要のある最重要アラームを特定し、2016年1月までに当該アラームの管理方針と手順を確立し、その教育を職員・医師に実施する必要がある。一方、我が国ではアラームシステムに関する要求事項、試験方法及び適用指針JIS T 60601-1-8:2012が既に策定されているが、管理者と実施者の責任権限の分離等、医療職、特に医師・看護師の理解が不足しているのが実態であり、アラーム関連の安全構築には未だ課題も多い。
そこで、まず我が国の生体情報モニタの実体を明らかにするために、委員の所属する複数の病院でのアンケート調査とともに、生体情報モニタの発生頻度、内容、看護師の対応等の現状調査を実施している。また、生体情報モニタには偽アラームが多いことから、アラーム疲労が生じ、結果的にアラームの見落としによる事故発生というケースもあることから、アンケート調査病院で偽アラーム減少対策教育を個別に実施し、その効果を判定している。
その成果の一部を報告するが、まず、アラームの精度の問題がある。例えばある病院での調査結果で7日間30名の患者の生体情報モニタをチェックし、計9000件中、職員の緊急対応が必要なもの30件(0.3%)、うち半数程度は看護師の行動が伴っていなかった(不遵守)。また、30件中、真のアラームは2件で、残りは偽アラーム(偽陽性)であった。製造者側から見るとできるだけ感度を上げたアラームが望ましいが、医療者側からは、感度が高すぎ、真のアラームでないものにも対応する必要があり、感覚鈍麻、疲労を生じている。現在、これら見えてきた課題を整理中であり、今後会員の皆様にその成果を問いたい。
主査 國澤 英雄(中部学院大学)中部医療の質管理研究会は、品質管理学会中部支部の研究会として2005年に創設され、2か月に1回の研修会、12月にはシンポジウムを行っております。シンポジウムには150名ほどの参加があり、また地元の新聞社の取材などで盛大な大会となっております。
研究会で取り上げるテーマは多様であり、2014年7月は関中央病院より「病院管理ツールとしてバランスト・スコアカード(BSC)は有効か」とのテーマで院内の展開状況の発表をして頂きました。
昨年のシンポジウムは、活発なQCサークル活動を行っている「博愛会病院の歩みと現状」と題した講演と事例発表、医療のTQM推進協議会の理事長上原鳴夫先生の講演などでした。
研究会の主要なメンバーである関中央病院(齋藤雅也院長)、松波総合病院(山北宜由院長)、岐阜日赤病院(中村重徳院長)、岐阜市民病院(冨田栄一院長)では、活発なQCサークル活動を行っております。研究会では、QCサークルのメンバーが質の良い改善化ができるように、スタッフは指導し支えること、また発表会等では、メンバーの努力を称え、メンバー個々人がヒーローになるように努めることなどQCサークルが活発化するための方策を申し合わせております。
病院を今以上に良くするためには、改善が重要です。今後とも、より多くの方々が中部医療の質管理研究会に入会し、改善活動を推進されるように希望いたします。
第V期42-44年度主査 田中 健次(電気通信大学)信頼性安全性計画研究会は、第V期の2年目に入りました。技術の進歩により信頼性と安全性は確実に向上していますが、高信頼度化による長期使用が進み、劣化現象が不透明化する中、関与する人との間には新しい課題が次々と生まれています。そのような社会に対して学会として何が提言できるのかを念頭に、毎回検討を進めています。
この分野では「想定外」の言葉がしばしば使われますが、想定外には2つの意味があります。発生するイベントを想定できなかったという「事象」の想定外と、予想したイベントにより想定を超える大きな被害が発生、あるいは極めて低い発生確率だが実際に発生した「予測」の想定外です。
前者の事象の網羅性に注目することが多いですが、近年では、後者の損害予測や判断の能力も問われていると言ってよいでしょう。研究会では、成功事例に着目し如何にそこから学ぶかに取り組んできました。東日本大震災時の津波の高さを事前に想定し、高台に建設した原子力発電所の例、日頃のBCM訓練により震災後も円滑に対応できた例など、的確な事前判断や決断の秘訣を探っています。
また、従来、リスクは発生頻度と損害の積で考えてきましたが、稀有だが莫大な損害をもたらす事象への対応はどのように考えるべきか。R-Mapで利用しているマトリクスの活用も含め、FMEAでの総合評価の考え方、対応の必要性判断の考え方について検討しています。
保全の問題も、現代の重要課題となっています。高速道笹子トンネルの天板崩落事故は、保全方策の重要性を提起しました。目視点検で防げなかったジェットコースターの脱線事故の教訓が、なぜ生かされなかったのでしょうか。組織内で、さらに業界を超えて、事故やインシデントから如何に学ぶか、リアルモニタリングデータを如何に活用するか、「学ぶ」観点から事故予防のあり方に取り組んでいきたいと考えています。研究成果は学会にて報告しますのでご期待ください。
主査 永田 靖(早稲田大学 教授)テクノメトリックス研究会が設立されて20年近くになります。一年に4回程度開催してきましたから、約80回の研究会を積み上げてきたことになります。設立当初のメンバーの多くが研究会に参加している一方で、若手のメンバーも徐々に加わり、研鑽を積んでいます。
「統計的手法を中核とした品質管理手法の開発・普及」を目指しています。メンバーが興味あるテーマを持ち寄り、それについて議論を行い、品質管理手法として確立できるかどうかを検討しています。手法の数理的側面の研究を重視している点がこの研究会の特徴です。応用できるようにするためには、手法の数理的正当性が背後になければならないと私たちは考えています。
発足当初は、グラフィカルモデリングの研究を大きなテーマとしていました。初代主査の宮川雅巳氏がわが国で初めて「グラフィカルモデリング」に関する成書を上梓しました。それに引き続き、研究会の成果として解析ソフトを完成させ、「グラフィカルモデリングの実際」という解説書を刊行しました。それが発展して、現在、因果推論が主要テーマの一つになっています。これは、観察研究を実験研究に近づける強力な道具です。
また、タグチメソッドの研究も大きなテーマととらえています。欧米では、タグチメソッドの数理的な研究が進んでいます。一方、わが国では、事例研究は数多くなされていますが、数理的な研究は十分ではないように思います。テクノメトリックス研究会では、数理的な観点からの検討、改良手法の提案など、数多くの議論を重ねてきました。そして、これらの研究成果は、シンポジウム、研究発表会、品質誌への論文投稿などにより、広く公表してきました。
今後も、こういった方法論・考え方を洗練させていき、わが国の品質管理活動の一助となるように努力していきたいと考えています。
主査 安井 清一(東京理科大学)先進的生産方式に対する工程管理研究会は、2012年からスタートした研究会です。2010年から2011年の1年間活動していた「多品種少量生産に対する工程管理に関するワークショップ」のメンバーが母体となっています。ワークショップでは幾何形状のようなパターンを特性として管理したいという事例について実際に解析し、議論しました。このような特性を管理する方法は、学術的には既にひと通り出揃った感がありますが、実際に適用すると有用性の他、問題点もあることがわかり、興味深い結果が得られました。この事例は中品種中量生産ぐらいのものですが、多品種少量生産が一般化するのには生産設備の高度化が寄与しており、先進的生産方式に対する工程管理研究会は生産方式から生じる新たな問題という点に着目して設立しました。生産設備および測定技術は、ハード面にもソフト面にも高度化しており、得られるデータは多種多様で大量ではないでしょうか。そのようなデータを効果的に工程管理に役立てたいと考えています。
メンバーは、大学側が3名、産業側が8名です。産業側のメンバーが事例を紹介し、問題を提起します。会合での議論で解析方針を決め、実際のデータ解析は大学側が受け持ちます。その結果を会合でフィードバックしながら、議論を進め、統計的工程管理の方法を開発しています。この役割分担は本研究会の特徴であると考えています。産と学が持っているそれぞれの特徴をぶつけることで触発され、議論が活性化することを狙っています。ほぼ月1回のペースで開催しており、白熱した議論を展開しています。
従来の統計的工程管理の方法では運用がうまく行かない事例を抱えられている産業側の方、データ解析の武器はたくさん持っているので、ぜひ役立てたいという大学側の方、まだメンバーに余裕がありますのでご一報下さい。
主査 永井庸次(日立製作所ひたちなか総合病院)、
副主査 飯田修平(練馬総合病院)本研究会は医療関係者(経営者)、品質管理研究者及び産業界の経営者から構成されているのが特徴である。医療関係者は病院の院長の他、実際の現場の医療に従事している医師、看護師、薬剤師等から成っており、医療の質管理に従事している方々が多い。品質管理関係者も医療を主に専門としている品質管理研究者だけではなく、一般産業界の質管理実務者も多いのが特徴であり、質改善・質管理を共通の観点から議論できる稀有な場である。
1〜2年ごとに重点課題を決めて月1回定例会議を開催している。最近のトピックスでは「医療のTQM七つ道具」を2012年1月に出版できた。本研究は産業界で活用されているQC七つ道具などが医療界では意外と活用されていないことが定例会議で判明し、医療に特有のTQM七つ道具もあるのではないかと考えたことから始まった。各種アンケートを含め計3年をかけたプロジェクトであったが、研究会の委員やその所属病院の方々のご支援で無事出版することが出来た。特筆すべきは「まぁ、いいか防止メソッド」を7つ目に加えたことである。医療界では手順は多々あるが、多忙、役割分担と責任権限のあいまいさなどから、得てして、「まぁ、いいか」という意図的な不遵守が行われる事例が多い。この状況を如何に把握・評価し、組織としての対策を取る必要があるかを「まぁ、いいか防止メソッド」としてまとめている。今後、対策の具体化と事例集の発刊などが課題である。ちなみに、七つ道具とは、業務工程図、故障モード影響解析(FMEA)、根本原因分析(RCA)、品質機能展開(QFD)、対策発想チェックリスト、メリット・デメリット対策分析表、まぁ、いいか防止メソッド(MIBM)である。
最近は医療アラームを検討中である。生体情報モニタなど多数のアラームが急性期病院入院患者に付けられているが、その見落とし、誤認などにより有害事例が発生している。この対策は看護協会、臨床工学技士会などで行われているが、改めて本研究会の主要課題として、質管理の立場から解析中である。
主査 石川朋雄(企画システムコンサルティング)サービス産業における顧客価値創造研究会は学会中期計画における「Qの創造」をサービス産業において展開すべく設置された計画研究会で、2007年1月から活動を開始した。サービス産業における実践的な顧客価値創造のシステムを提案し、製造業を含めた全産業でのQの創造を可能ならしめるのが目標である。2012年1月からは研究会として第6期となる。研究会は月に1回定期的に開催し,サービス産業向けのシステマティックな方法論を定式化すべく2010年以降はサービス産業の実態調査から得られた知見から実践研究を推進している。
サービス産業(自動車販売業)A社との共同研究
2010年から実践的研究を推進するため、「自動車販売業における新規感動サービスの開発」として、商品企画七つ道具(P7)を活用したグループインタビュー、アイデア発想から仮説案の抽出、ユーザー実態把握と仮説案検証アンケート、アンケート調査データの解析、具体的な施策案提案の流れで価値ある新サービスを創造した。自動車販売におけるサービスの流れを時間軸に捉え、購入前、契約中、購入後の時間軸に応じたサービス案を考案し、具体的なサービス案をインターネットアンケートにより仮説案を検証した。ユーザーから支持を受けたサービス案は実際に店舗にて展開している。
サービス産業(保守サービス)B社との共同研究
2011年さらなる実践研究を推進するため、B社と当研究会の間で研究開始について基本合意し、9月は同社の問題点と課題の抽出をした。トータルサービスの仮説案を出すべく、調査設計をするとともに新感動サービスの創造をする。現段階では新サービスを創造するための仮説出しに取り組み、研究会メンバーによって200件以上の仮説案創造に取り組んでいる。
最後に学会員の皆様、ひいてはサービス産業の活性に貢献できるよう今後も活動を継続してゆく所存である。学会員の皆様のご支援ご鞭撻を頂ければ幸甚である。
主査 荒木 孝治(関西大学)品質管理教育教材開発研究会は、2009年12月1日にスタートした。現在のメンバーは9名(企業6名、大学3名)である。本研究会の目的は、受講生が、ものづくりやそれを支える品質管理に対して興味を持つことができるように、学校や企業における教育で使える教材を開発し、教育の仕方やマニュアルも併せて提案することである。
本研究会で考える教材の特色は、近年はやりのバーチャルな教材ではなく、あくまで物理的な「もの」にこだわることにある。なぜなら、現実のものづくりでは、いくら立派な「図面」があっても、それを実現する段階でばらつき等を生じ、図面通りにならないからである。また、本研究会発足の基礎には、長年企業で品質管理教育を行ってきた清水貴宏氏(パナソニック(株))の品質管理教育への危機感と、学校(小・中・高・大)における統計教育の復権につとめてきた橋本紀子氏(関西大学)の危機感がある。
研究会では、素早くプロトタイプを作成し、それを改良していくなかで、よりよいものを作り出していくという考えから、第1号の成果物である「パッティング機」を「完成」させた。これは、ゴルフのパットを模した物理的シミュレーション機であり、利用者が部材を組み立てて利用する。100円ショップで購入できる部材を利用し、極力低予算となるよう工夫している。
本研究会は、成果に関する積極的な情報提供を行っている。品質管理学会での発表はもとより、日本科学教育学会、統計教育の方法論ワークショップ、数学教育学会で発表してきた。稲葉太一氏(神戸大学)は兵庫県の高校での「データ分析教育」の授業で、また、日本科学技術連盟の品質管理セミナーのベーシックコース(大阪)でも利用し、受講生から高い評価を得ている。また、企業に機材を貸し出し、利用の促進および情報のフィードバックを図っている。次の目標は、大学の文科系学部や企業の事務・販売・サービス部門で利用可能な教材の開発である。
主査 永田 靖(早稲田大学創造理工学部経営システム工学科教授)2006年、日本品質管理学会の当時の会長だった桜井正光氏(現(株)リコー会長)が打ち出した“Qの確保”、“Qの展開”、“Qの創造”というスローガンを実践する方策の一つとして、品質管理の分野における産学連携研究の強化が取り上げられました。本当に困っている事例を出してもらうため、クローズドな形で、1社(1グループ)限定の形式で、いくつかの研究会をトライアル的に立ち上げることになりました。その一つが本研究会です。
当時、日本品質管理学会副会長だったトヨタ自動車技監の渡邉浩之氏が産側のリーダーとなり、私が学側のリーダーとなって、産学連携現地現物研究会を立ち上げました。1年間ほど、研究方向を模索したのち、モノづくりの上流である開発・設計をターゲットとして、プロセス管理と問題解決の両面から研究することになりました。品質・技術力向上のために、エンジニアはどのように仕事を進めていけばよいかという視点で取り組み、その中で例えば品質工学とSQCの融合についても検討を行いました。
これらの成果を、2010年に『開発・設計における“Qの確保”』(日本規格協会)という書籍にまとめました。この書籍は、2010年度の日経品質管理文献賞に選考していただきました。
この書籍の第7章は「開発・設計における技術力アップのための問題解決の実践方法」というタイトルで、まさに、品質工学とSQCとの融合について記述しています。現在は、この部分を深掘りする方向で研究会を続けています。例えば、品質工学を教育・実践していく中で、教科書どおりの解析でうまくいかない場合があります。特に、ロバストパラメータ設計を行っても、確認実験で再現性が得られないとき、どうすればよいのか。そこに、SQCの視点からの対処方法が模索できるのではないかと考えています。
改善手法の新たな体系化を目指したいと考えています。
主査 仁科 健(名古屋工業大学)東海地区若手研究会は、中部支部に現在設置されている3つの研究会の一つである。そのルーツを紐解けば1989年にスタートしたSQC事例研究会(本部主催の研究会)に遡ることができる。SQC事例研究会→「感性と品質」研究会→SQC事例研究会(第2期)の本部研究会を経て、1996年から中部支部の若手実務家の勉強会として若手研修会が始まり、現在の東海地区若手研究会に至る。その昔、日科技連の多変量解析研究会など他の研究会と合同合宿をしたこともある。
SQC事例研究会当時から参加しているメンバーもいる。ということは「若手研究会」の「若手」とは「自称若手」であり、発足当時「若手であった」という意味である。
メンバーは大学教員4名、産業界15名(2011年度)である。東京から参加されるメンバーもいる。今現在の若手である名工大と南山大学の大学院生が加わる。2ヶ月に1度の頻度で土曜日に名工大で開催する。研究会修了後は最寄り駅の高架下での語らいの場もある。
研究会は提供された話題を議論することによって自己研鑽、相互研鑽を図ることを目的としている。特に研究テーマを掲げているわけではない。結構高度なSQC手法の話題もあれば、現場の泥臭い話題もある。データ解析に関する実務上の疑問点を紹介し、メンバーで意見を出し合うケースが多い。メンバーがゲストスピーカを連れてくることもある。完成度の高いテーマは研究発表会などで成果を公表している。ISOに掲載されることになった事例もある。
最近の話題は、最適化問題における内部従属の問題、応答曲面法における実験計画、ISO/TC69/SC4の最近の動向、試験流動期における工程能力の確保、T²−Q管理図の実用化などである。
提供された話題が院生の研究テーマに発展することも少なくない。もちろん院生も発表する。それほど意識することなく産学連携の相互研鑽の場になっている。
主査 金子 浩一(金子技術士事務所)本研究会は,2002年9月に関西支部に発足した「品質向上とQC手法研究会」が2007年3月に「科学的先手管理アプローチ研究会」に改称し発展した研究会であり、「企業の課題,リスク,文化を洗い出して効率的な顧客価値の創造」「ISOとTQMの俯瞰的融合」「迅速、効果的に適応できる先手管理技術の開発・普及」の三つの目的を達成すべく活動を行っている。関西支部主催の研究発表会で発表している(第1報〜第4報)ので、活動内容は各予稿集を見て頂くことにし、ここでは本研究会の雰囲気を紹介したい。本研究会は、少人数でざっくばらんな議論が行えることを念頭に、学術研究者、産業界のTQM・ISO担当者、品質管理技術者等のメンバー構成で、主査を金子が、幹事を神奈川大学の中島が務めており、2カ月に1度の割合で、平日の夕方PM6:30〜PM8:30に中央電気倶楽部で開催している。毎回、研究会場での議論は尽きず、場所を移しての「ノミニュケーション」による意見交換会を行っている。
科学が分析の時代から統合と融合の時代に入ったといわれている。分析はデカルト思考の要素還元主義であるのに対し、融合は反要素還元主義の認識論的還元主義と言われており、前者は品質管理的思考のデータと事実を中心とする形式知、後者は概念やビジョンを中心とする暗黙知とされる。本研究会では、これらを融合した先手管理のあるべき姿について議論を行っている。失敗してから慌てて処置をする後手管理、失敗がなく成功するように事前に手を打つ先手管理(千手,SENTE KANRI)の新たな視点で最適な七つ道具のモデル化を議論している。本研究会への参加条件は特に設けておらず、好きなだけ持論をぶつけられることも本研究会の特長と魅力だと考えている。ご興味ある方は関西支部事務局にご連絡頂きたい。将来的には、関西発の品質を中心とした企業活動の活性化、さらには、グローバル競争時代を生きぬく切り札としての「SENTE KANRI」構築を目指していきたい。
石井 和克(金沢工業大学)中部支部北陸地区若手研究会はその活動主体を石川県、富山県を中心とした高専生、大学学部・大学院生および産業界の業務経験5年以上を有する若手社会人においている。その活動は2つのグループに分かれている。
一つは毎年3月上旬に開催している高専生、大学学部・大学院生を主体とした卒業研究や修士研究の課題およびその成果の発表会を通じた品質管理の啓蒙や動機付けと、これを介しての品質管理教育法や研究指導法の情報共有・研究の場づくりである。この場づくりは(社)日本経営工学会(JIMA)北陸支部との連携を通じて行っており、発表者にはJSQC中部支部支部長とJIMA北陸支部支部長連名の表彰状を授与し、生徒・学生の参加意欲向上を図っている。第39年度は8件の発表を17名の参加者が家庭的雰囲気で討議を行った。
もう一つの活動の場は金沢工業大学大学院ビジネスアーキテクト(BA)専攻と同大情報マネジメント研究所が連携して行っている製造中核人材育成セミナーのクオリテイマネジメント統合特論の課題改善成果発表会と連携した実践課題の発見と解決を中心とした場である。当該セミナーの詳細は品質誌第40巻4号の13−16頁を参照して頂きたいが、情報マネジメント研究所が主催する地元製造業で5年以上の業務経験を持った若手社員を対象とする講習会とBA専攻のモジュール科目(座学、演習、実習からなる授業形式)を組合せ、若手社員と修士学生が現場の工程管理上の問題を中心に共同研究し、解決するプログラムの最終段階を利用して研究会の場を作っている。この研究会には受講者とその所属企業関係者以外にもJSQC会員を始め、地元産業界からも参加者がある。また、名古屋地区の工場長養成塾の関係者とも交流を図っている。第39年度は溶接、熱処理、塗装等の品質改善や試作品管理等の6テーマについて、26名の参加者による熱心な討議が行われた。
北陸地域のものづくりは受注生産形態の多種少量生産を得意としている。ものづくりの研究は人づくりの研究からをモットーに地元密着で、息の長い研究会を目指している。
主査 黒木 学(大阪大学)統計的品質情報解析研究会は、2008年10月に開催された関西支部役員会の承認を受けて発足した統計的品質情報技術開発研究会を改称した研究会であり、「関西QC界の活性化と発展」と「関西発のSQC技術の開発・普及」というローカルな目的を達成すべく活動を行っている。本研究会の活動については関西支部主催の研究発表会予稿集を見ていただくことにし、ここでは、本研究会の雰囲気を紹介したい。
本研究会は、少人数によるざっくばらんな議論が行えることを念頭に、学術研究者と産業界のSQC技術者とのバランス(学術3名、企業5名)を意識したメンバー構成となっており、2ヶ月に1度の割合で、平日の夕方PM6:30〜PM8:30に中央電気倶楽部で開催されている。本研究会は、定刻どおりに始まるものの、時間を忘れるほど議論が白熱するため、定刻どおりに終了したことはなく、守衛の方に追い出されることもある。ほとんどの場合、場所を居酒屋に変えて、終電間際まで第二ラウンドが行われている。
本研究会では、既存SQC技術に対する新たな視点や問題点、新たなSQC技術の開発可能性について、学術・現場の両面から活発な議論が行われている。研究会への参加条件として、(1)SQCに関する基本的知識を有すること、(2)学会発表をしていただく(実際には、企業秘密の問題もあり難しい)ことがある。この条件ゆえに、企業側メンバー全員がSQC現場を豊富に経験していることが本研究会の特徴である。
しかし、この参加条件が足かせとなって高度な現場知識を必要とする議論になることがあり、主査としては役員会報告書の作成で苦労している。その一方で、(関西ならではの感覚で)好きなだけ本音で議論することができ、無知を承知でメンバーに素朴な疑問を好きなだけぶつけられることも本研究会の魅力だと考えている。本研究会はこのようなものであるが、将来的には、関西QC界の活性化だけでなく、日本QC界の発展にも貢献したいと、メンバー一同いつも考えている。
39、40年度主査 山田 秀(筑波大学)テクノメトリックス研究会では、「統計的手法を中核とした品質管理手法の開発・普及」について研究しています。品質管理の原点はシューハートが提案した管理図による管理の提案であり、その後もデータ・事実に基づく管理は品質管理の中核にあります。その意味で本研究会は、この古くて新しい命題について研究をしています。
研究会の開催は、おおむね3ヶ月に1度であり、各メンバーが統計的手法、考え方、事例などについて紹介し、議論により研究を練り上げています。研究会の創設以来、様々なテーマを研究してきました。初期の研究会活動の主たるテーマの一つが、「グラフィカルモデリング」です。これは、因果分析のための多変量解析法の一つで、回帰分析などに比べて変数間の関連をより明確につかめるのが特長です。本研究会ではこの手法が普及する前から着目し、研究成果をもとに、日本品質管理学会、テクノメトリックス研究会編、「グラフィカルモデリングの実際」を1999年に出版しました。これ以降も、因果分析に関して種々の検討をしています。研究成果はJSQC研究発表会、品質誌などで発表されています。
また、タグチメソッドついて、創設当時から研究しています。根幹となるパラメータ設計だけでなく、比較的新しい手法であるMTシステムについて、MTシステムと判別分析の比較、MTシステムにおける諸注意、タグチのRT法で用いる距離の性質とその改良、T法・改良T法と重回帰分析などの基盤的なものから比較的最近のものまでも取り上げ、種々の研究成果を導いています。この研究成果は、研究会メンバーの多くが参画している「(科学研究費 基盤研究A)品質工学(タグチメソッド)の理論と応用に関する学術的研究」とも連携させ、独自のシンポジウムやJSQC年次大会などで報告されています。
テクノメトリックス研究会では、今後も同じ方向の研究活動を進めていきます。成果をご期待ください。
椿 広計(統計数理研究所・副所長)当研究会には、品質管理研究者、統計学研究者、総務省・厚労省・経産省・日銀の公的統計部局専門家、認定機関(JAB)・認証機関関係者、日本マーケティングリサーチ協会(JMRA)の調査専門家、日本製薬工業協会(製薬協)医薬品評価委員会生物統計・データマネジメント部会メンバーなど多彩な委員が参画している。昨年JSQCニューズに報告した研究会趣旨に沿ったベクトル合わせを7月に行い、9月には統計関連学会連合大会(早稲田大学)でJSQC企画セッションを行い、QMSの考え方やそのデータへの適用について研究会メンバーと共に学習した。また9月以降、次の3分野でのデータ質マネジメントの現状把握を行った。すなわち、1)ISO20252に基づき、わが国に発足した「調査」サービス認証制度の現状を認定機関(JAB)・認証機関(日本能率協会)・ISO原案審議団体(JMRA)の専門家に紹介頂いた。この制度は調査機関がISO20252に沿った調査を提供できるという力量を保証し、ISO20252に沿って行われたサービスを登録するものと理解した。JABの認定するサービス認証という枠組みはわが国初のものであり、MSシステム認証との類似性・相違点などそれ自体も興味深い試みである。2)医薬品の許認可に関わる国際基準であるGCP(Good Clinical Practice)等に基づくデータ質保証制度の狙いと現状とを、(独)医薬品医療機器総合機構、製薬協、データマネジメント受託企業(イーピーエス)からヒアリングした。3)総務省政策統括官室から公的統計の品質管理に関するガイドライン作成における論点などを紹介頂いた。
これらの議論を基に、40年度研究方針を議論し、1)公的統計分野に対するISO20252適用の問題点と可能性、2)「計測の不確かさ」の考え方に基づく、統計・データのプロダクトとプロセスとの評価の2点を今年度の研究テーマとすることとした。データに基づく改善・意思決定はQCの基本であり、当研究会は、そのデータ自体の質について、多角的に検討を進めたいと考えている。
副主査 神田 範明(成城大学)当研究会は学会中期計画における「Qの創造」をサービス産業において展開すべく2007年1月に発足した計画研究会で、3年間活動を続け昨年12月に当会が中心となってシンポジウムを開催し、一区切りがつきました。
マーケティング手法とTQM手法とを融合させた「商品企画七つ道具」による顧客価値創造(新商品企画)が製造業では盛んとなりつつありますが、サービス産業との間のアンバランスを解消し、サービス産業独自のシステマティック・科学的な方法論を確立せしめることが日本全体で急務の課題です。当研究会はサービス産業における顧客価値創造の方法論で実践レベルで活用できるようなTQM的方法論を提案し、全産業でのQの創造を可能ならしめるのが目標です。
この3年間で、文献調査から始まり、メンバーやゲスト講師による様々な発表、以下のような2回にわたる徹底的なアンケート調査とその分析を行いました。学会の研究発表会で計5回報告し、シンポジウムを1回開催して成果を積極的に公表して参りました。
(1) 大がかりなサービス産業の実態調査により、商品企画の成功の構図を明らかにしました。 (2) 12業種に及ぶコンジョイント分析的実験調査により、各業種のサービス評価での重要な要因を究明しました。
この1月から第2期に入り、主査を石川朋雄氏に交代し、いよいよサービス企業との実践事例研究を推進します。具体的内容は現在計画中ですが、先方企業、そのクライアント企業、研究会メンバー、神田研究室学生4者でチームを編成し、活用できる事例を本年5月〜12月に完成する予定です。この中で更に具体的問題点をピックアップし、場合によっては新たな方法論の構築を目指して研究したいと考えております。余席がありますので、関心をお持ちの会員諸氏の連絡を心よりお待ちいたします。
主査 鈴木 和幸(電気通信大学)急速な技術の進展と社会・市場構造の変化により激変する社会・経済環境の下、“ものづくり”における信頼性・安全性(R&S)確保の要求がますます高まっています。この要請に応えるべく、2006年7月に本計画研究会が発足し、本年6月までの3年間、32回の会合とシンポジウム[1]を通して討議を重ねてきました。
このR&Sの確保の為には、開発・設計・生産の現場における i)トラブルへの迅速かつ適切な対応、ii)トラブルの再発防止、iii)トラブルの未然防止が鍵を握ります。そして、これらの活動を a)安全文化とトップのリーダーシップ、b)品質保証とその仕組み、c)ユーザとメーカと社会・行政の三位一体の活動が支えなければなりません。これらに関しては実施例も含めて[2]にて総合報告を行ないました。さらに進んで、特に1.危険な状態の定義の明確化、2.固有のR&Sと使用・運用のR&Sのギャップの克服、3.新技術・新製品への予測に基づくトラブルの未然防止、4.高度技術下でのQA体系の確立と保全を中心とするQA体系の構築、および5.上記 c)の三位一体活動に関し[3]にて、また短期開発製品のR&S作り込みに関し[4]にて報告致しました。
3年間、多大な御協力を賜った委員各位ならびに貴重なご教示と情報提供を頂いたゲストスピーカーをはじめとする関係者各位に厚く御礼申し上げます。なお、本年11月より第二期の研究会活動を開始予定です。
[1] JSQC第124回シンポジウム「信頼性・安全性の確保と未然防止」抄録集,2008.9.5 開催 [2] 品質誌Vol.38,No.4,2008年10月号特集「信頼性・安全性の確保と未然防止」 [3] 鈴木和幸他(2009):「JSQC信頼性・安全性計画研究会報告(第3報)」,JSQC第89回研究発表会,pp. 225-228 [4] 品質誌Vol.39,No.3,2009年7月号特集「短期開発における品質のつくり込み」
主査 永井 庸次((株)日立製作所水戸総合病院院長)
一昨年10月に主査を拝命してから瞬く間に1年が経過しました。月1回土曜午前の2時間千駄ヶ谷に通う日々が続いております。副査の飯田修平先生を始め、委員数は26名の小規模の研究会ですが、常時15名前後が出席し、産業界の経営者・質管理者、アカデミックな質研究者、医療界の経営者・質管理者が各々の観点から活発な議論を続けております。
一昨年度からの主要テーマとして、産業界における「QC七つ道具」、「新QC七つ道具」に匹敵するような医療分野におけるTQM七つ道具(略して「医療の七つ道具(仮称)」)の開発に積極的に取り組んでおります。計画ではそろそろ出版準備中になっているわけですが、六つまではある程度候補は煮詰まってきているものの、最終的に七つ目のツールとして「まぁ、いいか」という意図的な「不遵守」対策をどのように取り扱うかで議論が行き詰まり、現在アンケートを実施して、問題点を整理している最中です。残りの六つに関しては、現在各委員が分担執筆中であり、この場で公表してもよろしいのですが、まずは発刊された本を見てのお楽しみとしてとっておきたいと思いますので、平にご容赦をお願いする次第です。
また、本研究会はその他に、「医療機関におけるTQM普及を促進する医療制度・政策のありかたの提案」と「TQMに基づく病院建築に伴う質保証の現状の把握」を研究テーマとしてあげております。前者に関しては、今回発刊される予定の新版「品質保証ガイドブック」において、医療分野の項を主査、副査2名で分担執筆しましたし、各委員が各種団体(特に全日本病院協会)主催の「医療安全管理者養成講座」において講師を務めております。後者に関しては、主査・副査ともに病院を新築中・新築直後のこともあり、「病院建築における質保証とは」という重い課題に関して、現状分析中であります。
主査 神田 範明(成城大学)
本研究会は昨年1月に発足した計画研究会で、サービス産業での価値創造の方法論で有効なシステムを研究しています。
我が国最大の産業であるサービス産業においては、顧客ニーズの多様化と規制緩和に伴い競争が激化し、顧客に受容される、顧客価値の高い新サービスを適確に創造することが肝要となっています。しかしその方法論は確立されておらず、個々の経営者・企画者の思いつき、独創に委ねられているのが実情です。今までもサービス産業へのTQMの普及に諸先達が努力されていますが、医療関係など一部の取り組みを除けば、残念ながら大幅な改革には至っていません。肝心の売上や利益に直結する「しかけ」作りが必要で、これがまさに「顧客価値創造」です。製造業でも新商品企画が事業成長の根幹を成すように、サービス産業でも「カイゼン」的発想ではなく、新たな価値の高いサービスをどう創造するか(企画するか)が事業の成否に直結する時代になりました。そこで当学会では中期計画で特にサービス産業を対象とする「Qの創造」の研究が必要との認識から本研究会を創設しました。
これ迄にサービス産業関係の文献研究と、幅広いネットアンケートでの実態調査とそのデータ分析によるモデル化を実施しました(この成果は第86回研究発表会で公表)。サービス企画の成功度とCSなどの関係を捉えた、いくつかの有用なモデルが誕生しました。サービス産業は業種間のばらつきが大きいですが、それに執着せず、「成功する企業」での方法論について今後更に分析を加え、実用に耐える提案にしたいと考えます。また、実証事例を収集し、真に実践できる「Qの創造」モデルの公表を目指します。大体月1回のペースでの会合ですので、大きな負担にはなりませんし、異業種交流も図れます。現在若干余席があります。学の方々は勿論のこと、特にサービス産業の皆様には奮ってご参加いただきますよう、お願い申し上げます。
主査 中西 寛子(成蹊大学)
3ヶ月に1度、10名余りの研究者が千駄ヶ谷の一室に集う。 本研究会の趣旨に賛同した研究者たちである。特別な話題を持って来てくれる ゲストスピーカーもいる。10時になると主査が示したプログラムのもと、 研究成果が次々と発表される。その内容を一言でまとめると、
「統計的手法を中核とした品質管理手法の開発・普及」
となる。
研究報告は以下のようにいくつかのグループにまとめられる。
・タグチメソッドに関する研究
・因果構造を考慮した解析の普及
・コンピュータ上での実験および実装
・新たな統計的手法の研究と普及
これらの研究は単なる理論として終わることがないよう、 応用分野への貢献を意識しながら進められている。特に、 品質管理の現場が持つ固有の背景を意識している。一方、 固有の問題は普遍的な手法となり得ない。理論なき議論は 避けなくてはならないとし研究が進められる。
一人の発表に対し、1時間余りの白熱した質疑応答がなされ1日が終わる。 ここでの議論は年次大会での研究発表、品質誌への論文発表となり学会員に還元される。 また、研究会メンバーの品質管理に関する著書も多数ある。
テクノメトリックス研究会は昨年10月で13年目に入った。 当初より参加しているメンバーもいるが、新たに加わったメンバーもいる。 常に研究内容の質の高さを求め、よい成果を上げることが使命と考える。
池田 俊也(国際医療福祉大学)
本研究会は、日本品質管理学会計画研究会として2000年4月に発足した。 発足当初より品質管理と医療界より多彩な顔ぶれの研究者・実務家が参加しており、 発足以来、月1回定期的に研究会を開催して、医療界における品質管理手法の活用可能性と課題 について、様々な調査研究ならびに活発な討議を行っている。 わが国では、品質管理と医療界との意見交換・共同研究の場は非常に限られていることから、 本研究会におけるメンバー間での相互啓発の意義は極めて大きいと考えられる。
実際、本研究会では数々のユニークな成果が生み出されている。特に、初代主査の飯田修平氏 ならびに二代目主査の田村誠氏らが中心となり実施した、TQMに先進的に取り組む病院に対する調査では、 有益な知見を得ることができた。この結果については、2005年6月に日科技連出版社より 「医療の質向上への革新−先進6病院の事例研究から−」として出版を行い、 2005年度の日経品質管理文献賞を受賞することができた。 またこれに引き続き、産業界で一般的に有用だと考えられている七つ道具等のTQMツールを先進的医療機関に おいてどの程度導入しているかを調査し、その概要については昨年の日本品質管理学会において発表を行った。
品質管理の手法・考え方を導入したくてもなかなか推進できないでいる医療機関はまだまだ多い。 そこで今後は、医療機関におけるTQM普及を促進する医療制度・政策のあり方に関する提言を とりまとめる予定である。また、医療機関において有用な「医療七つ道具」(仮称)の開発を行い、 先進的病院のみならず一般の医療機関への導入を進めることを計画している。
本研究会の活動を通じ、わが国における医療経営の総合的質の研究と実践の発展によりいっそう 貢献できるよう、メンバー一同、今後とも努力していきたい。
岡本 眞一(東京情報大学)
環境マネジメントシステム研究会は平成15年に設置され、途中で中断があったが、本年3月に終了の見込みである。前半は招待講演者による講演と研究会メンバーによるフリーディスカッションを中心に進めてきた。なお、講演は恣本適合性認定協会・ 大坪孝至氏、寰Y業環境管理協会・中山哲男氏、ビーエスアイジャパン鱒シ利道氏、井上正昭氏にお願いした。
フリーディスカッションでは環境マネジメントシステムの有効性とは何かという問題を中心に多方面の環境問題について議論した。また、会員メンバーから環境マネジメントシステムに関連するA自動車の環境対策について、B環境対応商品の市場性について、Cグリーンサービサイジングについて、などの報告を受け、それについても議論をおこなった。なお、この内のグリーンサービサイジングについては、昨年秋の学会にメンバーの長沢氏より報告済みである。
今年度には会員向けにアンケート調査を実施し、近くその成果をまとめる予定である。環境マネジメントシステムについてのアンケート調査は適合性認定協会(JAB)により毎年実施されており、調査内容の重複を避けるため、質問項目の調整等を実施した。アンケートは日本品質管理学会のメンバー宛に発送した。回答結果の速報はすでに研究会で報告をしたが、詳細は春の学会で報告する予定である。この結果、消費財メーカ、生産財メーカ、サービス業の順に環境が大切であるという意識が高いことがわかったが、ISO14001登録維持活動や認証登録に向けた活動などが大切であるという意識は生産財メーカ、消費財メーカ、サービス業の順であった。
この研究会の研究期間も残り少なくなったが、研究会メンバーの報告も含めて、研究報告をまとめる予定である。
本研究会は市場価格に対応した品質を研究する公募研究会であり、元朝日大学の持本志行氏が提唱しているQDm(Quality Design for market price)を実践・実証することを目的としている。既に7回の研究会がもたれ、11月には8回目の研究会となるが、これまでにエクスカベータ、LCD、コンデンサなどについての実践結果が報告されている。現状のQDmにおいては既存製品について、自社・他社製品の価格・品質の比較検討が中心である。既存製品が具備している機能を中心に品質要素を展開し、この品質要素別に価格を推定することによって、現存製品の価格比較を品質中心に検討できる。
研究会を開始する以前はQDmのDはDeploymentであったが、現在ではDesignと変わった。このことからQDm表を用いて品質設計を可能とする考え方に拡張されているが、価格を設定して品質設計する目的でのQDmの手順を確立する必要がある。そこで今後はQDm原価企画・QDmコンピュータ支援システム・QDm前段の「設計コンセプト手法」の研究開発を予定している。QDmの考え方の応用に関して、参加メンバーから様々なアイデアが提案されており、残りの研究会で研究報告をまとめる予定である。
大藤 正(玉川大学)
主査 金子 龍三(日本電気通信システム(株))
研究会では様々な業界の商品におけるフィールド問題を調査し、その結果主要な品質保証課題には、○1自動車・携帯電話に代表される顧客が多様で移動環境下で使用する商品の品質保証、○2開発期間短縮化に対応した品質保証、○3システムの拡大に伴い実使用環境以外に対象がない場合の品質保証、○4携帯電話に代表される大規模で複雑な複合技術開発の品質保証があることが判明しました。従来の単純開発型品質保証体系や単純高品質保証型品質システムでは限界があり改善改革が必要であることを明らかにしてきました。実際のフィールド品質の分析から判明した【妥当性確認もれ】問題には図1の要因があることを明らかにし、実際の未解決障害の分析にこの要因図を用いて有効性を確認しました。妥当性確認関係におけるデジタルエンジニアリング対象も図1に示しました。
経営、企画、設計、製造の品質保証問題に対してはISO 9004の概念に対応するプロセスネットワーク分析技術を開発しました。プロセスの妥当性確認に有効であることも示しました(学会未発表)。以上が第一年度の研究の状況です。
第二年度の研究課題はQC工程表に替わるプロセスネットワークに対応したISO 9004ベースの工程別品質保証の検討【プロセスの妥当性についての技術的検討】です。その観点からデジタルエンジニアリングの対象を検討する予定です。研究員が電気電子情報系に偏っているので課題が多い機械工学分野の会員の参加を期待します。
主 催: 日本品質管理学会計画研究会「シミュレーションとSQC」 共 催: 横幹連合同調査研究委員会
キックオフワークショップ日 時: 平成16年5月15日(土) 会 場: 名古屋工業大学
プログラム:
10:00 数値シミュレーションの現状と問題点
−進化的計算法による多目的最適化大林 茂 氏
(東北大学流体科学研究所・教授)
(発表45分,質疑15分 以下同様)11:00 数値シミュレーションに基づく統計的実験計画法の研究現状と問題点 山田 秀 氏
(筑波大学大学院経営システム科学専攻助教授、
日本品質管理学会テクノメトリックス計画研究会主査)12:00 休憩 13:00 基調講演「ディジタルエンジニアリングとSQC」 高橋 朗 氏
(株)デンソー会長、
日本品質管理学会顧問13:30 CAEにおけるSQC活用上の問題点 吉野 睦 氏
(株)デンソー・技術センター室長14:30 デジタルエンジニアリングにおける品質保証 金子 龍三 氏
(株)NEC情報システム取締役15:30 数値シミュレーションから見た信頼性評価の現状と問題点 多田 浩之 氏
(株)富士総合研究所解析技術第2部
[横幹連合第1回調査研究委員会]
16:30 横幹連合調査委員会 ワークショップを踏まえて研究会の進め方に対する全体ディスカッション 会場 名古屋工業大学
なお、横幹連合調査研究委員会にエキスパートを派遣下さる学会につきましては、今回のワークショップ参加の旅費を学会毎に1名は支援可能ですので、筑波大学の椿(tsubaki@gssm.otsuka.tsukuba.ac.jp)まで、下記事項を4月30日までに送付してください。
このほかにも、ワークショップにオブザーバーとして参加・発言を希望する横幹連合の専門家がいらしたらば、参加費は頂戴しませんが会場の都合がございますので、5月10日まで椿までに、所属学会、お名前・勤務先・連絡先などをメイルでご連絡頂ければ幸いです。
- 研究委員会に参画する学会名
- 登録エキスパート名(あるいは、今回のWSに派遣するエキスパート名)
- エキスパートの所属、旅費支援を希望する場合、出張依頼の提出先
- 事務局からの連絡先など
昨年4月より、標記研究会にて活動を進めています。“次世代”、“小集団”、“実践”というキーワードが連なっており、非常に難しいテーマに取り組んでいるものと改めて実感しております。毎月1回のペースで研究会を開催しておりますが、毎回10名以上の参加があり、非常に驚いていると共に、メンバーの方々の熱意には感謝するばかりです。研究会をスタートした頃は、多くの方からQCサークルの研究をしているのかと聞かれました。ひょっとすると、研究会メンバーもそのような想いを抱かれていたかもしれません。確かに、QCサークルも品質管理を進める上で重要な役割を担う小集団活動です。それでは、QCサークルだけが小集団活動なのでしょうか。プロジェクト・チーム、タスク・チーム、そして職場単位でのグループ活動、様々な名称と形態で小集団活動は存在します。本研究会では、小集団活動をQCサークルに限定せず、職場環境や労働環境の変化から、これからの小集団活動を進める上でのポイントを整理したいと考えています。
研究を進めるにあたっては、コミュニティという概念を中心に据えました。辞書でcommunityを探すと、そこには共同体というキーワードが得られます。共同体の領域は幅広く、職場単位から社会全体までが含まれるのでしょうが、本研究会ではビジネスの場における共同体を想定していることから、「一定の業務目的を持ち、共属感情を持つ人々の集団」と解釈し、これらの活動が効率的・効果的に実践されるための運用方法を検討しています。海外ではコミュニティという概念のもとで、小集団活動の実践が非常に進んでいるとの報告もありました。これらの基礎となるのは日本のQCサークルであり、彼らはQCサークルのよい所を徹底的に分析し、アレンジを行っているのです。
現在までの成果として、今後の小集団活動では、知の創造と共有が求められているという認識を抱き、これを実践するためのポイントやサポートする仕組みについて研究を行っております。“次世代”というキーワードを掲げた以上、これからの社会がどのような方向に進んでいくのかを据え、小集団活動の姿を模索しなければなりません。これは非常に難しい問題でもあります。研究会のメンバーは常に頭を捻りながら一つの指針を提案できるように頑張っております。本年3月を目指して報告書の作成も予定しておりますので、楽しみにしていただきたいと思います。
文責:永井 一志(玉川大学)
新規研究会の設置が決まりましたので、メンバー(会員)を募集いたします。
「次世代型小集団活動実践研究会」へのお誘い この度、次世代型小集団活動実践研究会をスタートする運びとなりました。これからの時代に即した小集団活動の在り方を追究していく研究会です。世間では、プロジェクト・チーム、タスク・チーム、ワーキング・グループ等、様々な形で小集団活動が行われております。現在、そして、これからの時代に即した小集団活動とは何か、またどのように進めるべきかを改めて考えたいと思います。活動は月1回、1年間の予定です。皆様の積極的なご参加をお待ちしております。
主 査 : 永井 一志 玉川大学 経営学部 開 催 日 : 第1回研究会 平成15年4月7日(月)18:00〜20:00 申し込み方法 : 本部事務局宛に会員番号・氏名・所属・連絡先を明記のうえ、E-mail(office@jsqc.org)またはFAX(03-5378-1507)にてお申し込みください。 定 員 : 20名
当研究会は、1994年にSQCを研究テーマとする計画研究会として発足し、現在3期目(3年/期)をむかえている。タイトルにあるように、“品質管理に役立つ多変量解析法の開発と普及を志向した新たな視点からのアプローチ”が研究会の基本テーマである。ただし、多変量解析以外のSQC手法を対象外としている訳ではない。キーワードは“品質管理に役立つ”である。ここに“新たな視点からのアプローチ”の意味が込められている。統計解析ソフトの普及、および各方面でのセミナー教育によって、多変量解析がSQCのベーシックな手法となりつつある。しかし、現在のレベルが品質管理に対応した独自性をもつソリューションテクノロジーとして確立したものになっているとは言い難い。既製品では十分な対応ができない場合もある。当面、“因果推論の品質管理への応用”“主変数法など結果系変数の選択問題”に関する研究が具体的なメインテーマである。研究発表会、学会誌“品質”への論文投稿、解説の寄稿などを通じて、これらの研究成果の公開を進めていく予定である。
第69回研究発表会のチュートリアル講演会では、重回帰分析における偏回帰係数の解釈、説明変数の選択について、工程解析、工程改善を意識した因果分析の観点からの解説を行った。また、“重回帰分析における偏回帰係数の解釈について”が品質誌32巻3号に掲載されている。
平成13年4月より1年間もたれた"ナレッジ・マネジメント(KM)と QFD(Quality Function Deployment品質機能展開)研究会"から発展的に"知識創造実践研究会"が設置された。物づくりと共に知の生産が重要になって来ている事を受け、知識創造の実務面に焦点を当て討議を進め、出来れば何らかの実用ツール的なものを纏める事も視野に置いている。新規メンバーも加わり会合は月1回であるが常時e-mail連絡等行っているので会合の効率は良い。発言が活発で話題が広いことが特徴かと思う。過去2回の研究会で自由討議を持ち方向づけを行ったが、当面次の四つに絞り研究を進める事にした。
- 現場とシステムがかみ合うための知の管理。
- KMで提案されている各種ツールの実用的検討。
- KMのコア(価値創造、人材育成、知識創造)の実用面の検討。
- 個人の意欲と知識ベースのインタラクティブ効果、等
狙いとしては、個別研究の深化はそれぞれの専門家にまかせねばならず、日常実務の運用はある程度確立しているので、品質管理の得意とする管理技術を駆使して、その隙間から出る新しいものをいかに逃さないか(例えばNeedsとSeedsの有効な出会い)もひとつのテーマとする。 一般会員のご意向も反映したいので学会事務局またはメンバーへご意見頂ければ幸いである。
- 研究会メンバー:
- 玉川大学 大藤 正 玉川大学 永井一志 富士ゼロックス 布施輝雄
岡谷電機産業斉藤 忠 横河電機杉浦 忠 熊谷組田中孝司
東京大学田村泰彦 日本大学西原良治 前田建設工業藤野芳徳
グローバルテクノマネジメント研究所平戸昌利 サンマックス長沢重夫(主査) 以上
主査 中條武志(中央大学)近年,原子力,医療,航空などの様々な分野において組織における人の行動が引き金となって発生した事故が社会的な問題となっています.これらの事故は信頼性・安全性を確保するための強固なしくみが人の介在によっていかに容易に崩れ得るかを示しています.安全獲得のためには,ハードウェア技術の向上に努めるだけでなく,人間を視野の中心において,人の特性を考慮したマネジメントや設計を考えることが重要となってきたと言えます.
本研究会では,このような立場から,様々な分野における事故事例の調査・研究を通して,進歩の激しい複合技術領域における人間行動とそれによって事故が引き起こされるメカニズムを解明し,品質管理の立場からこのような事故を防ぐ上で有効な方法論を提案することを目的に活動しています.進め方としては,1ヶ月に1回の頻度で会合を開き,メンバー各自が進めている人間行動に関する研究についての発表・議論を行い,人の関わる事故の未然防止のための方法論の研究および体系化を試みています.
今まで取り上げたテーマとしては,1事故の引き金となったヒューマンエラーや標準不遵守の組織要因の分析,2製造現場における人的環境の変化,3医療におけるリスクの分析・マネジメント,4効果的な事故報告制度のあり方,4プロセスアプローチに基づく医療事故事例の分析,5発端となる事象から致命的な状態に至る人間行動の記述法,6自動化が人の行動に与える影響,7チーム活動におけるエラーの分析とエラー防止原理の抽出,8製品使用時におけるエラーの危険性予測法,9マニュアル・絵表示の誤解のしやすさの評価法,などがあります.これらの内容については,3月3日の第5回情報システム学シンポジウム「信頼性とシステム安全学」でも議論・検討する予定です(詳細は学会ホームページhttp://jsqc.i-juse.co.jp/gyoji.htmlを参照してください ).会員の皆様の積極的な参画・ご支援をお願いいたします.
ナレッジマネジメントとQFD研究会 近況報告(主査 永井一志)最近書店では、ナレッジ・マネジメントに関する文献が非常に多く並ぶようになりました. このことは、知の創造に関して多くの企業が関心を抱き、その重要性を認識していると解釈できます.
本年3月末よりスタートした「ナレッジ・マネジメントとQFD研究会」では、知の創造や知の創造プロセスと新製品開発におけるQAの一方法であるQFDには多くの共通点があることに着目し、研究に取り組んでいます. 現在のところナレッジ・マネジメントで重要とされているイネブラー(正式な日本語訳はありませんが、「知識創造促進要因またはしかけ」と解釈しています)とQFDによる顧客要求の解析方法について研究を行っています. さらに、知の創造に際して重要とされているケアについてもQFDとの関連性を研究していく予定です. ナレッジ・マネジメントに造詣が深い方のお話を聞きながら、最終的に新製品開発の一助となる開発管理工学ツールの提唱を目標としています. 大それた目標であるかもしれませんが、メンバーの方々には多くのご発言をいただき、充実した活動を行っています. 研究の成果については積極的に学会等で発表していきますので、ご意見等をいただければ幸いです.
国際的に通用する技術者の育成を目的として,4年制の理工系大学および(2年制の)専攻科を持つ短大・高専を対象に,教育機関の評価・認定を行う日本技術者教育認定機構(JABEE)が設立される.設立の経緯やねらいは,朝日新聞(1999・4・20)や東京新聞(1999・4・9)の第1面トップ記事をはじめ多くのマスコミにより報道されている.教育機関の評価・認定基準(案)は「共通基準」と「専門基準」の2種類.「共通基準」は,専門に拘わらず全ての専門分野で満足すべき基準で,学生が問題解決能力,自己学習能力,発表能力等を身につけることが出来る教育プログラムか否かが問われる基準.
「専門基準」は,学生が専門分野の能力を身につけることが出来る教育プログラムになっているかが問われる.品質教育研究会では,JABEEの「共通基準(案)」を検討し,共通基準の日本品質管理学会(案)を作成し,さらに「品質管理を含む経営工学」に関する専門基準(案)を作成した.これらの案をふまえ企業にアンケート調査を計画し,調査結果をふまえ大滝主査が,「技術者教育認定制度と経営工学」と題して平成11年7月1日の日本学術会議経営管理工学専門委員会第15回シンポジウム(会場:早稲田大学大隈小講堂)で講演を行う予定である.
環境変化激変の時代に,企業は短期利益指向の度を強めているが,このような時代こそ「品質は長期的にマーケット・シェアーを増大し,長期利益に貢献する」というえ方が重視されるべきであろう.本研究会は,年度方針を中心にした方針管理(方針管理事例研究会),戦略的方針管理(戦略経営とTQC事例研究会)の後をうけて,「理念・ビジョンによる品質経営」を,TQMの立場から研究することで設置され,既に約半か年経過した.
最近の課題を例示すると,
などの企業事例と並行して,
- トヨタのビジョン経営
- アイシン精機のビジョン
- アイシン・AWにおけるビジョン
などの関連文献の研究とともに,研究会のアウトプットである,
- 品質月間特別行事,豊田会長講演要旨「品質を中核とした企業経営」
- 中村元一「理念・ビジョン追求型経営」
を進めている.
- 「ビジョン経営ガイドライン(仮題)」内容項目の検討
TQMが再構築され,21世紀に向けて新たな胎動を始めようとする時に,本研究会の研究が,その方向の一つの示唆を示すものとなることを祈念している.
最終報告は,平成11年10月年次大会を目標にしている.
TQMの医療への展開研究会 (主査 上原 鳴夫)研究会は,欧米における医療適用事例も参照しつつ,TQMを医療に展開する方法の開発を目指している. QCサークル活動はTQMの基礎となるQC的考え方の普及・浸透に有効であるが,医療界ではほとんど認知されてこなかった. このため1月24日に公開ワークショップ「病院QCサークル活動の現状と課題」を開催し,その意義と課題について検討しあわせて病院QCサークル現状調査の中間報告も行った. 北海道から沖縄までの11の病院が体験談と推進事例について発表し,パネル討議では運営の現状や問題点について活発な討論を行った. 病院QCサークルの交流会としてはこれが初の試みであり,200名を超す参加が得られたことで,病院QCサークル活動の実際を啓蒙するよい機会になっただけでなく,実施施設にとっても大きな励みになった. これまでのテーマは業務効率の改善が主となっているが,これは医師の関心が低いことのほか職場・職種に限定されたサークル活動という性格にも由来しており,医療の質の確保や改善に有効性を発揮するためにはシステムの改善を指向した課題別チームによるプロジェクト・アプローチとTQMへの発展が必要と思われる. 今後は,品質展開,方針管理,指標管理等の医療の質への応用について研究を進める計画である.