2018年5月29日午後、当学会が東日本支部を新設したこともあり、宮城県黒川郡にある、トヨタ自動車東日本株式会社(以下、TMEJと記す)本社・宮城大衡工場において、第401回事業所見学会が開催された。
TMEJは、2012年に、旧関東自動車工業、旧セントラル自動車、旧トヨタ自動車東北の3社が統合し設立された。2011年3月の東日本大震災により、被災した地域の持続的復興も設立の背景となっているとのこと。TMEJでは、主にコンパクトカーを生産し、「東北を基盤に世界No1の魅力あるコンパクト車をつくる」を目指す姿とし、T.ものづくり、U.地域連携、V.人づくりの三つを柱にして事業を展開されていた。宮城大衡工場は約33万uの敷地であり、地域の環境にも配慮した活動として除草剤を全く使わず、その証拠に敷地内でヤギを放牧している。
今回は溶接工程と組立工程を主に見学させて頂いた。造形された車両は上部から挟みこむ吊り下げ型のアームが通常のところ、こちらでは下から持ち上げ型の自主台車としていることで工場内の天井空間が空き、照明を削減出来ていた。
また、1台あたりの利益が限られているコンパクトカー生産で、TEMJのノウハウをフルに活用し高収益を得ている実態を拝見した。
Vの人づくりの現場であるトヨタ東日本学園内にある、結(Yui)ギャラリーで、TEMJが統合する前からの社歴やクルマづくりの流れ、ハイブリッドシステムの展示ブースなどを見学させて頂いた。こちらでは実車の分解モデルの展示や現場のカイゼンのからくり仕掛けの実際の例が展示されていた。一般企業では作業者の注意力に任せているような作業が如何に間違いなく、短時間で作業が確実に完了できる仕掛けとなっており、皆、感銘を受けました。
地域企業との連携も活発で、農業や食品業、水産加工業などトヨタで培ったノウハウを東北復興に役立てていた。
自動車業界でも、偽装問題等もあり見学をお断りされることが多い中、正面切って見学を受け入れて頂けるところが、TEMJの力のある証拠であると感じた。
斉藤 忠(岡谷電機産業(株))