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第131回関西講演会ルポ
新製品開発を巡るグローバルレギュレーションに関わる我が国企業の課題
−市場品質・設計追求における最先端事情−

 
掲載日:2017/09/14 ルポの一覧に戻る

 7月20日(木)、大阪大学中之島センターにおいて関西支部主催の第131回講演会が開催され、38名の参加者が標題のテーマについて熱心に聴講した。
 1つ目の講演は、元・(株)本田技術研究所HRD Sakura 田中尋真氏から『F1レギュレーションと技術の変遷』と題した講演があった。
 世界最高峰の自動車レースとして知られるF1に関して、そのレギュレーションは公平性、競技性、安全性、安定性・持続性、興行性を考慮の上で定めらており、既成概念や先入観の極力排除を目的として原則文章で定められているため、分かりにくい反面、新技術の独自性が尊重されている。近年では車両の性能抑制と安全性向上を目的とした継続的なレギュレーション強化が行われているが、新技術投入によりラップタイムは短縮されている。本講演では安全性向上(車体構造等)や性能向上と抑制(タイヤ幅、空力形状)等について実車写真を用いた紹介が大変興味深かった。
 2つ目の講演は、江崎グリコ(株)取締役研究部門統括栗木隆氏から 『食品新素材の開発と国内外のレギュレーション対応』と題した講演があった。
 グリコ健康科学研究所では糖質の機能向上・改良等について精力的な研究が行われており、中でもクラスター デキストリン(CCD)は世界で初めて開発に成功した食品素材である。CCDは高い水溶性、溶液安定性、低浸透圧等の特徴から、様々な用途(スポーツドリンク、味覚改善、物性改良等)に利用可能である。
 このCCDを市場投入するには、世界各国の行政機関からの認可が必要だが、レギュレーションは国によって差異がある。米国ではGRAS(Generally Recognized As Safe)の取得、カナダ及びEUでは「Novel Food(新規食品)」の認可が得られ、日本に比べてレギュレーションは論理的であった。
 いずれの講演も、品質管理に留まらない幅広く興味深い内容で大変有意義であった。

鈴木 啓介(川崎重工業(株))


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