7月4日(月)、大阪大学中之島センターにおいて関西支部主催の第128回講演会が開催され、53名の参加者が標題のテーマについて熱心に聴講した。
1つ目の講演は、(株)GSユアサ 産業電池電源事業部産業電池生産本部本部長 田淵淳氏から『TQM本格導入による経営体質の強化と現場力の向上』と題して、2015年度にデミング賞を受賞されるに至った具体的な取り組みを豊富な事例とともに紹介いただいた。
まず2008年度のリーマンショックによる業績低下の中でもその原因を他責のみに帰することなく、むしろ内部組織の体質強化を目指してTQMに注力された経緯からお話しされた。具体的な取り組みとしては、人事考課と融合した方針管理の実施例や、現場力を活用した改善活動事例、独自のDR強化策による抜け漏れのない変更点管理の実現、個人のスキルに依存しない未然防止評価の定着などの実例を、その効果とともに示された。
いかなる環境の変化にも対応し、常に改革の風土を発展させて成長し続ける組織を目指す姿勢と活動はどのような組織にとっても参考になるものであった。
2つ目の講演は、(株)島津製作所 広報室課長 榎本晋虎氏から『島津製作所のモノづくり』と題して、創業からの141年の歩みを多岐にわたる企業活動の実態とともに紹介いただいた。
創業当初からの「御好次第何品ニテモ製造仕候也」の精神を受けつぎ、日本初の商品を連打しつつ多くの分岐企業を生み出されてきた歴史や、2002年のノーベル化学賞受賞者輩出時の逸話など、当時の貴重な資料とともに多数紹介があった。また注力分野での取り組みを「健・環・暮」として紹介され、医療への貢献、食の安全安心、水質環境保全などの分野での先進的な活動を共有することができた。
最後に日本をマザー工場と捉え、そこで培われている匠の技や、工場を支える小集団活動「DIO活動」について品質へのこだわりとともにお話しされた。
お二人とも限られた時間の中で具体的な事例を交えながら多くの示唆に富むお話を紹介いただき、大変有意義で得るところの多い講演会であった。
巽 敏博(パナソニック(株))