5/27(金)、名古屋国際センターにて濱口哲也氏(東京大学大学院教授)を招いた講演会が開催され、募集枠を大幅に超える229名が参加された。論理的な思考に基づいて正しい日本語で意思を伝達することの重要性やその伝達力を磨くポイントが、実例や演習によって分かりやすく解説された。
始めに、講演テーマの背景として、意思疎通が不十分なため、社内報告書が何回もチェックバックされる等、意思の伝達力が仕事の質に大きな影響を与えることが説明された。そして、伝えたいことをうまく伝えられない社会人が多い最大の要因は、従来の日本の国語教育が文学や道徳中心の教育であり、文法や言葉の論理性を学ぶ語学の場ではなかった点にあると指摘された。
日本語で意思を正確に伝えるためのポイントとして、単語を正しく使うこと、英文と同様に文型を意識し、主語と述語の関係を明確にすること、また、格助詞(てにをは)や接続詞の使い方に注意すること等が指導された。論理的伝達力を高めるためには、これらの点を頭において、他人が作成した文書の論理性をチェックするだけでなく、過去の送信メール等、自身の文書を見直すことが有効であると実践体験を踏まえて語られた。
終盤に、スクリーンに映し出されたテレビCMのセリフを聴いて、おかしな表現にツッコミを入れる訓練が行われた。終始テンポ良く進められた3時間の講演は、参加者にとって、休む間もなく頭をフル回転させながら内容を理解し、実践の意識を高める貴重な機会になった。
船見 晃啓((株)竹中工務店)