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第385回中部事業所見学会ルポ
(株)ヤマハミュージカルプロダクツ 豊岡工場

 
掲載日:2016/05/13 ルポの一覧に戻る

 去る平成28年2月3日(水)に(株)ヤマハミュージカルプロダクツ(静岡県磐田市)にて、「世界最高峰の楽器づくりを支える技能伝承」をテーマに開催され、33名が参加された。
 ヤマハ管弦打楽器の製造会社である同社は、ヤマハ(株)の管弦打楽器、国内唯一の製造会社として2014年4月1日にヤマハから分離独立した新しい会社である。管弦打楽器製造に求められる品質は高級工芸品に求められるものと同等と言われ、その製造技術力を高めてきた。一方で「人」の感性でしか実現できない品質も存在し、これまでの40数年にわたる楽器製造で培い、受け継がれてきた技能を「匠」として維持・伝承していることを紹介いただいた。
 当日のプログラムは、浅田社長による会社の生い立ち、理念、製品などの会社概要説明、展示ホールでの各種製品の紹介、管楽器の製造ラインの見学、質疑応答、意見交換会と進められた。工程の最終検査では、音程だけでなく、音のキレ、安定感など“響き”が出せているかを全数検査していた。この技能は経験が必要になるが、ヤマハ吹奏楽団でその楽器の首席奏者の方が担当されていた。高い感性を持ち、音楽を知る、楽器を知る精神を植え付けているそうで、作業者の技能向上のモチベーションにつながっていると感じた。
 質疑応答では、人材をどうやって育てていくかという質問が出され、過去の失敗の原因を突き詰めて、地道にソフト対策とハード対策を実践しているとのことであった。技能を、伝承すべきものと機械化するものとに分け、伝承すべきものは要素別に必要なものを揃えた。「分かる」から「できる」までやる、生産指標で評価(モードと不良率を個人別評価)することで、論理から実作業と仕組みを整備し、短時間で育成できる技能検定制度を作ったと説明され、技能伝承の仕組みを共有できた。
 最後に、業務多忙の折にもかかわらず、丁寧なご説明および生産現場見学の機会を設定してご対応いただきましたことに対し、心より感謝申し上げます。

脇田 康之(日本特殊陶業(株))


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