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第16回安全・安心のための管理技術と社会環境ワークショップ

 
掲載日:2016/03/14 ルポの一覧に戻る

中條 武志(安全・安心社会技術連携特別委員会)

 2015年12月25日(金)の午後、78人が参加し、「事故調査の進め方と社会的な役割」をテーマにワークショップが開催されました。これは、日本原子力学会の社会・環境部会とヒューマン・マシン・システム研究部会、日本人間工学会の安全人間工学委員会との共催で年1〜2回開いているものです。
 前半は、運輸、医療、原子力という異なった領域の実務家・専門家から各分野における事故調査の現状と課題について報告がありました。運輸安全委員会の松本陽氏からは、具体的な事例を交えながら鉄道分野における事故調査の実情を紹介頂くとともに、事故調査と刑事捜査の両方を経験された立場から、難しさはあるが、技術的な面の調査では両方がもっと協力すべきだという提言を頂きました。また、全日本病院協会の西澤寛俊氏からは、2015年にスタートした「医療事故調査制度」の概要とその運用において医療界が直面している難しさをご説明頂き、医療機関自身による院内事故調査を中核に、それを社会が支援するという姿を目指しておられる状況を話して頂きました。さらに、岡山大学の五福明夫氏からは、福島原子力発電所事故の事例をもとに、研究部会で検討された内容をご紹介頂き、十年に一度くらいしかないような事故の原因を追及する難しさと、その解決の方向性を話して頂きました。
 後半は、安全マネジメント研究所の石橋明氏、立教大学の芳賀繁氏らが加わり、事故に関する事実の収集と起因となった不適切な行動の特定、複数の事故の横断的な分析と組織要因の掘り下げ、調査する事故事例の選定と調査委員会の設置など、事故調査の各段階における難しさとそれをどう克服するかについてのパネル討論が行われました。
 分野ごとに状況が異なるため、結論を得るまでには至りませんでしたが、今後の実践と研究に向けて幾つかの重要な示唆の得られたワークショップでした。


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