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第383回関西事業所見学会ルポ
『D-eggにおける産官学連携による起業支援を通した
新規産業創出と地域経済発展への取り組み』

 
掲載日:2016/02/15 ルポの一覧に戻る

 第383回事業所見学会が11月27日に京田辺市のD-egg(同志社大学発インキュベーション施設)で行われた。ここは大学と連携して起業家を育成するインキュベーション施設で、(独)中小企業基盤整備機構が大学と地元自治体共同で運営している。インキュベーションとは卵の孵化を意味し、起業家の育成や新たな産業の創出を支援するという意味である。「D-egg」とは同志社の「D」と卵の「egg」から成り、機能を端的に表現した愛称である。施設の提供のみならず、起業にあたり資金調達、知的財産戦略など、多面的にサポートしている。この施設を「卒業」したOB企業も多い。現在では学生が起業した会社も入居しているそうだ。D-eggの概要説明の後、入居企業を代表しエイキット(株)とアイ’エムセップ(株)の紹介があった。
 エイキットは糖化ストレスの測定をコア技術とし、分析機器を駆使して食品や化粧品を評価している。測定技術の開発に同志社大学と連携しており、大学の技術を起業した例として紹介された。大学と連携し易いというD-eggのメリットを活かしている。
 アイ’エムセップ(I’MSEP)は、元京都大学・同志社大学教授が溶融塩電気化学プロセス技術を活かしての起業である。企業名は技術の頭文字(MSEP)の前に「Innovation By」の意味で「I’」を付けている。車載電池材料の高性能化、レアメタルのリサイクルなど応用範囲の広い技術で、当日は緻密質炭素メッキを例に詳しく説明していただいた。売上は右肩上がりだ が、産業利用が広がればとわくわくさせる内容であった。D-eggのサポートは販路拡大で大きいと説明されていた。
 説明の後、各企業を見学させていただいた。両社とも大学発ベンチャーの例であった。大学の技術もそのままでは実用化は難しいであろう。ものづくりを基盤とした起業や新産業創出の面でのD-eggの寄与は大きく、今後の更なる発展が期待される。最後に、事業所見学会にご協力いただいたD-eggの皆様に厚くお礼を申し上げます。

榊 秀之(千寿製薬(株))


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