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第126回講演会ルポ
『顧客満足(CS)の科学と品質経営への示唆』

 
掲載日:2015/12/16 ルポの一覧に戻る

 第36〜37年度の元会長である圓川隆夫先生(東京工業大学名誉教授)の講演会が10月15日、日本科学技術連盟東高円寺ビルにて開催された。
 私たち実務者にとってはいま「顧客満足」ほど、人口に膾炙している言葉は他にない。しかし単なる「顧客不満足の解消」だけではなく、顧客満足のために新しい価値をどう考え、どう作り出し、どう提供していくかとなると、実務者として、概念論を乗り超えてその先に進めない悩ましさの壁に当たる。本講演は、膨大な分析と深い文化的洞察から、概念論だけではなく具体論としての道筋について貴重な内容を学ぶことができる機会となった。

 講演の論点は以下の3つである
(1)顧客価値の指標といえるCSの生成メカニズムを科学的に解明し、アウトスタンディングからブランドイメージが形成されそれがCS生成につながることを明らかにされた。
(2)この結論を元に、顧客価値創造のための「5つの戦略」とその具体化の方法が示され、実務で「CS」「顧客価値創造」に取り組む悩める実務者にとって、具体的に進むべき多くの道を示された。
(3)さらに、私たち日本人の歴史的経験から形成された日本文化を深く洞察し、その強み・弱みを活かしたこれからの品質経営について重要な提起をされた。そして最後に、お客様第一・顧客価値実現を経営の柱とし、「表の品質力」強化と、基礎となる「裏の品質力」を固めて、販売・マーケティングと開発・生産の強固な連携による新デミングサイクルの実行が必要であると結論づけられた。

 尚、本講演のベースとなる先生の著書「顧客満足 CSの科学と顧客価値創造の戦略」は今年度の日経品質管理文献賞を受賞され、経営者・管理者が今後の方向性、特に顧客価値創造の戦略を考える上で有益な文献であり、さらに学術的にも今後の品質管理の発展に大きく貢献する良書として大変高く評価されている。

熊井 秀俊((株)リコー)


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