狩野紀昭先生による標記講演会が、2015年7月27日(月)、日科技連 東高円寺ビル講堂にて開催された。
石川馨先生の愛弟子のお一人として、品質管理の先覚者である石川馨先生の偉大な功績や逸話を交えながら、大変に示唆に富むお話を3パート構成で講演された。参加者は115名。
■A. これからのTQMを考える
従来の「コスト低減に向けた品質」に加えて、「売上向上に向けた品質」を実現することが重要であると提言され、売上(S)の構造を需要(D)、営業力(M)、製品力(P)の3要素の積モデル(S=D*M*P)とした営業戦略比較を講じられた。
加えて、買替購入が増える今後は、Q1(過去品質)、Q2(現在品質)、Q3(未来品質)の3つの品質の考慮が必要であるという新しいコンセプトを階層販売構造モデルに基づき詳述のうえ、顧客歓喜を促進し顧客激怒を起こさないことが重要であると強調された。
■B. 世界の動向を踏まえてのTQM推進を
TQM成功の秘訣から始まり、1950年代以降現在に至るまでの10年間隔でのTQMの内部構造の変遷を、「TQMの館」として分かり易く解説された。その中で、トップによる動機付けが鍵であることを指摘された。
品質汗かき理論、組織運営乗物論、方針管理、日常管理、QCサークルの狙い等、興味深い講演が展開された。
■C. 成長支援の品質保証
イラン工場でのゴミの現物を層別した「床の上のパレート図」のお話など印象的な現場事例を交え、品質保証の評価、Wave Model「品質をプロセスで作り込め!」、品質保証体系図の理論、品質の縦にらみ評価の強化等、理論体系と実践を踏まえたお話が伺えた。
最後は、参加者との質疑応答の後、全員による盛大な拍手をもって閉会となった。
井上 国治(パナソニック システムネットワークス(株))