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第124回関西講演会ルポ
イノベーションの起点となる 「行動観察」と「ビッグデータ」

 
掲載日:2015/08/07 ルポの一覧に戻る

 5月21日(木)、大阪大学中之島センターにおいて関西支部主催の第124回講演会が開催され、56名の参加者が標題のテーマについて熱心に聴講した。
 1つ目の講演は、大阪ガス行動観察研究所(株) 事業本部エグゼクティブリサーチャー 小野泰氏から『現場起点のイノベーション手法、「行動観察」とは』と題して説明があった。行動観察により、本人すら気付かず、言葉に出来ない行動を科学的に観察・分析することで、潜在的なニーズ(リスク、スキル)を可視化し、インサイト(本質と思われる事項)が導出され、イノベーションにつなげることができる。そのため、マーケティングや業務・安全の改善活動に有用である。なお、行動観察は、本質を見抜くスキルと知見を身に付ければ誰でも出来るものの、1.自分の価値観は一旦捨てる、2.様々な観点から事実を見るという2点からシンプルではあるが実践することは難しい。
 2つ目の講演は、(株)村田製作所 モノづくり技術統括部モノづくり強化推進部シニアマネージャ 宮森誠氏から『新製品の市場への早期投入を支えるアナリティクス』と題して、EDP(電子データ処理)システムから取得したビックデータの活用事例の紹介があった。
 マイニングを定着させるための組織と推進体制と仕掛け、業務直結・解析手法・情報技術の連携体制の重要さ、課題の抽出とデータの収集・加工、解析の進め方などについて説明があった。成功の鍵は、生産工程データ活用の目的を製造現場の改善とし、データを使うことから考えるのではなく、データ活用で問題が解決できるのかを考えること、また、分析組織ではなく改善活動組織として考えることにあることが示された。なお、目的が改善であることから、「現場・現物・現認」と技術的な知見又は熟練者のノウハウで解決できれば大がかりなデータ活用まで進む必要がないことを前置きされていた。
 いずれの講演も、実例を交え、わかりやすく大変貴重な内容で、意義あるお話であった。

坂根 誠((株)GSユアサ)


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