2014年9月19日(金)、日科技連千駄ヶ谷本部1号館3階講堂にて参加者148名が集い、狩野紀明先生の講演会が開催された。先生が今日までの50年間にご研究された内容を、大きくA「成長に向けたTQM」、B「成長支援の品質保証」、C「世界の動向を踏まえたTQM推進を!」の3パートに構成され、その理論と体系を具体的な例とユーモアを交えながら、分かりやすくご講演頂いた。
Aパートでは、売上と品質に関し、「ビジネスアプローチを十分取っているのかどうかで必要な戦略が変わる」ことや、「買替購入では、3つの品質に分けて評価するべきである」ことなどが講述された。その後、品質の3つのレベルや狩野モデルを、プレゼントを初めとする身近なものを例に、分かりやすく説明された。最後に、品質改善の包括的手順として課題達成型QCストーリー(PDCAサイクル)・SDCAサイクル・問題解決型QCストーリーの関係を紹介され、この体系の理解と一体化しての活用が強調された。
Bパートでは、PDCAサイクルにおいて一番重要なものは何か、応急対策と再発防止ではどちらが重要かなどのQ&Aから始まった。品質保証のためには、「安全性に関する問題を起こし、顧客が購入を後悔するような“顧客激怒”を招かないようにすることが必要である」、「事故と予測予防では人の死因は限られるため、死亡事故を発生しうるケースを全てリストアップ(予測)し防止策を準備(予防)することができる」と講述された。さらに、「品質の縦にらみ評価」、「各参加者の役割を明確とせず、ただ参加するだけの慢性化した品質保証体系の見直しが必要である」ことや、「作業者に作業標準を遵守させることの重要性」が講じられた。
Cパートに関しては、時間の制約上、十分なお話を頂くことは叶わなかったが、TQM実施の上ではプロセスを結果でチェックすることにより、PDCAをステップアップさせることが大切では、とのご教示を頂いた。最後に司会の兼子毅先生の閉会挨拶をもって大盛況の中、閉会となった。
山下 雅代(電気通信大学)
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