去る平成26年6月26日(水)に、第373回事業所見学会が開催され18名が参加された。訪問先の小澤酒造(株)は元禄15年(1702年)を創業とする由緒ある酒造会社である。また酒造りにとどまらず隣接する多摩川の清流を眺めながらお酒や軽食を味わえる庭園の開設や酒蔵見学、きき酒処の運営などお酒を様々な形で楽しめる取り組みを多角的に事業化している。
当日は小澤社長よりご講演いただき会社の歴史から品質経営、従業員の人間性を尊重した経営方針など長期存続企業としての秘訣を惜しげもなくご披露いただいた。特に昭和50年代から始まった地酒ブームの勃興と物流の発展による地方酒造メーカーの進出、東京の地の利を活かした戦略などについて詳しくお話いただき、参加者はその経営姿勢やマネジメント手法について興味深く聞き入っていた。
ご講演のあとも引き続き社長自らのご案内により酒蔵の見学をさせていただいた。はじめに創業年に建造された元禄蔵の説明があり、その重厚な造りと歴史ある雰囲気に参加者一同圧巻の思いを受けていた。蔵の中にある複数の貯蔵タンクは番号で厳重に管理されており、内容物はすべて課税対象であるため非常に気を遣われているとのことであった。
続いてお酒と酒粕に分ける工程について説明され、使用されるお米の種類と精米されてできる糠の用途を紹介いただいた。そして明治時代に建てられた明治蔵、熟成酒の貯蔵棚を見学したあと、仕込み水が湧いている井戸を拝見した。
一通り見学した後、小澤酒造にて造られた日本酒の試飲となった。質疑応答において参加者はほろ酔い気分になりながらも積極的な質問が飛び交い、予定時間を超える活発な議論がなされた。
今回は身近な嗜好品であるお酒について普段は知ることができないご苦労や経営哲学について学ぶことができる有意義な見学会となった。最後に、ご多忙のなか終始ご対応いただいた小澤社長はじめ従業員の皆様へ深く感謝を申し上げます。
澤田 雄一(筑波大学)
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