『そんなことが起きているとは知らなかった/そういうことは想定外だった』などの言い訳のニュースなどが目につく中で、期せずして見える化に関する著書が2冊出版された。平成25年12月16日(月)、出版に関わられた著者をお招きした本学会主催の第115回講演会が、52人の参加者を得て開催された。
「見える化があなたの会社を変える」の編著者である広島工業大学 名誉教授 久保田洋志氏は、経営環境は必ず変化し不確実で厳しいもの。企業は活動の集合体であり、特に第一線の人々は、“ちょっと変だな”を感じとるセンサー機能が働き、変化に柔軟に対処することが重要となることを強調された。不具合・異常発生の源泉は、変更点・変化点にある場合が多いが、多くの企業は“変更点管理”はやっているが“変化点管理”がうまく出来ていないとも言われ、“見える化”は3つの変化をもたらすことをまとめとしてお話しされた。
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“見える化”によって価値と事実が共有され、コミュニケーションが良くなり、“影響の連鎖”が起こり、個人の意識と行動が変わり;自律性が高まる |
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ひとり一人が変わると相互補完的な共働が促進され、互いに認める職場に変わり;職場が活性化する |
(3) |
職場が変わると部門横断的共働が活性化し、統合的組織能力と環境対応性を高める;企業の進化を確実にする |
「再発防止・未然防止の見える化」の著者である福丸マネジメントテクノ 代表取締役 福丸典芳氏からは、再発防止では、分析能力が弱いために事象と原因の考え方を間違え、原因の追究が弱くなっている例が多い。未然防止では未然防止そのものの意味の理解が出来ていないことが根底にあり、活動のどのようなことが未然防止に該当するのかという認識に至らない。誰もが未然防止のプロセスを確認出来る見える化の工夫が必要であるとして、著書には7ステップの手順に加えて「見える化シート」も紹介されている。
講演会に参加できなかった方々は、2冊の書籍を手にとっていただき、職場の品質向上活動に生かしていただきたい。
(肥後 勇)
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