中部支部主催の標記講演会は、2013年5月28日(火)刈谷市総合文化センターにて開催された。参加者は153名。
グローバル化、少子高齢化、価値観の多様化など、先行きに不透明さが増す中で、これからの「質」を考える場として、お二人の先生が講演された。いずれも、多くの聴講者から高い評価が得られた。
■講演1『日本のものづくり技術神話再考 〜グローバル市場で選ばれるために〜』
東京大学特任研究員、
元サムソン常務 吉川 良三 氏
なぜ日本の製造業が急速に競争力を失っていったのか、どうしたら再び輝きを取り戻せるのかについて、幅広いご経験からの大変興味深いお話が伺えた。真のグローバル化とは、その国の文化に合った地域密着型ものづくりをすることであり、新興国への進出では特に重要となる。また危機意識が企業に変化をもたらすなど、日本企業復活の提言をされた。
■講演2『「質」とは何か〜医療技術開発を例として〜』
京都大学大学院 教授 富田 直秀 氏
工学と医学の見地から、「モノ」は「物質の塊」であり「構造」として認識されるが、「イキモノ」は「情報の塊」であり「関係性」から認識される。「イキモノ」には空間的、時間的な多様性が存在する。「質」はこうした関係性の中に存在し、関係性の中で育つという概念を、事例を交えてご紹介された。これからの「質」を考える上で大変示唆に富むお話であった。
古谷 健夫(トヨタ自動車(株))