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第361回関西事業所見学会ルポ
奈良文化財研究所
埋蔵文化財センター

 
掲載日:2012/11/28 ルポの一覧に戻る

 第361回事業所見学会が、平成24年7月27日に独立行政法人国立文化財機構 奈良文化財研究所 埋蔵文化財センターに於いて参加者26名で行われた。同所は平城宮跡に隣接し、古都奈良の文化遺産を総合的に研究する目的で設立され、文化財の保存・修復・整備等に関する研究を行っている。
 今回は、特に昨年3月の東日本大震災で被災した文化財、その中でも対応に急を要する古文書や紙本彩色等の水損した紙資料の救援(レスキュー)活動の報告を聴き、その後埋蔵文化財センター内における最先端分析活動等の現場見学を行った。
 まず被災した文書等のレスキュー活動では、膨大な水損紙資料をクリーニングする前に、カビや腐敗を夏場までに防ぐことが緊急課題であり、冷凍倉庫の確保に大変苦労し、さらに乾燥処理するために当研究所の他、全国の博物館、大学、教育委員会等との協力で真空凍結乾燥処置を実施しているとの報告があった。
 次にセンター内の見学に移り、「保存科学研究室」では、丸木舟一艘を処置できる真空凍結乾燥機による水損紙資料や大型木材処置の方法、及び藤ノ木古墳から出土した剣の解析や保存等の説明を受けた。「環境考古学研究室」では、1〜2mm程度の骨片からでも鳥、魚、人等のどの部位かを判別する専門家の説明を、また「遺跡・調査技術研究室」では、三次元計測技術や地中レーダーによる発掘調査の効率化の説明を受けた。さらに「年代学研究室」では、マイクロフォーカスX線CTやデジタル画像技術と相関分析やt検定等のSQC手法活用により、非破壊測定で一年位の精度の年代特定ができる年輪年代学の説明を受けた。
 これらの研究成果は埋蔵文化財の調査方法等に留まらず、考古学、建築史学、美術史、歴史学のほか自然災害等にも活用されているという。日ごろ馴染みの少ない研究分野だけに、丁寧に対応して頂いた埋蔵文化財センターの皆様に心より感謝申し上げます。

長谷川 隆男(元 (株)カネカ)


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