第358回事業所見学会が、平成24年5月24日(木)に(株)GSユアサ京都事業所内の産業電池生産本部にて、参加者42名で開催された。同社は、長年競合として切磋琢磨してきた日本電池(株)と(株)ユアサコーポレーションの2社が、2004年に経営統合して誕生、「深海から宇宙まで」あらゆる種類の2次電池(蓄電池)を生産している。
京都事業所は同社国内の最大拠点で、鉛蓄電池やLiイオン電池など2次電池全般を製造している。始めに「電池の現状と展望」「産業電池生産部門のTQM活動推進について」のプレゼンがあり、続けて据置鉛蓄電池生産工程と、展示で同社の歩みがわかる「パワーギャラリー」の見学をさせて頂いた。
統合当初から、生産工程で価値を創造するVIP(Value Innovation Project)活動を立上げ、2009年からTQM本格導入による方針管理強化、2010年には「TQM活動強化宣言」を軸に、生産能率向上を図るSPS活動をスタート、2011年度には日本品質奨励賞の“TQM奨励賞”を受賞された。
活動の主軸は(1)トップのリーダーシップ(2)改善活動(3)標準化と日常管理(4)品質向上3ヶ年計画、の4本である。文化の異なる2社の経営統合には大変なご苦労があったそうだが、コミュニケーション強化や部門横断プロジェクト活性化で対応されてきた。また、品質保証体系図、業務プロセスフロー図も詳細にわたり、仕事の流れの標準化が着実になされていると感じた。
工場見学では、鉛の粉砕から製品充電工程まで、全工程を見学させて頂けた。現場活動板の他にSPS専用活動板が併設され、能率や多能工化の進捗が日常管理できる仕組みがキチンと回っている。「TQM活動で人を育てる」とおっしゃった村尾本部長のお言葉が、現場に浸透している事が実感できた。清掃エリアMAPに基づいた5Sもされ、粉体、水が飛散しがちな現場が整然としている。フォークリフトが場内を常に行き来するが、通路の交差や角毎に半球ミラーが設置され、安全にも十分留意された工場であった。
飯塚 裕保(積水化学工業(株))