村川 賢司(事業委員会)
「用語の定義を通して品質管理の本質を学ぶ」と題して、6月15日(金)の午後、日科技連千駄ヶ谷本部において、新しい試みである講習会が開催されました。この講習会は、品質管理に関する147用語がJSQC規格「品質管理用語」(JSQC-Std 00-001:2011)として2011年10月29日に制定・発行されたことを契機に、品質管理分野に関心を持つ方々がその本質について深く学ぶ機会を提供しようという趣旨で企画されました。
JSQC規格「品質管理用語」は、品質管理を実践する人にとってその文化や風土に適した定義が不可欠であるとの認識から、ISO9000に代表される国際規格の定義や旧JIS Z 8101の定義(ISO9000シリーズの導入に伴って1999年に廃止されました)、品質管理分野の多くの書籍の定義を横断的に整理し、当学会が3年余りの時間をかけて調査研究して開発したものです。
講習会は、JSQC規格「品質管理用語」をテキストにして、中條標準委員長による制定のねらいに始まり、品質管理を実践するうえで根幹をなす代表的な約30用語の定義について、用語の背後にある概念、定義の本質的な意味、JISやISOの定義との相違の意図、定義化で特に議論されたことなどを、規格開発に携わった標準委員が解説しました。
最後に行われた全体討論では、ISOによる定義との関係性などが熱く意見交換されると共に、学会として総合的品質管理(TQM)の全体像を再整理していく重要性や日常管理のJSQC規格化の動きなども披露されました。
参加者からは、品質管理用語を再認識したことや半日講習では内容が豊富すぎるなどの感想が寄せられており、品質管理用語を引き続き啓発普及していくことを含めて、学会による研究・開発の成果を学ぶ時宜を得た場づくりが大切であるとの観を深めた講習会となりました。