平成24年4月20日、本学会および全日本病院協会共催の「医療のTQM七つ道具」出版記念講演会が東京都医業健保会館大ホールで開催された。
練馬総合病院院長 飯田修平氏より、医療のTQM七つ道具概論の講演があり、その後、各執筆分担者からそれぞれ約15分ずつで以下の七つの道具が紹介された。
(1)業務行程図:日立製作所ひたちなか総合病院院長 永井庸次氏 (2)FMEA、(3)RCA:練馬総合病院院長 飯田修平氏
(4)QFD:TERA Consulting主幹 國枝 麿氏
(5)対策発想チェックリスト、(6)対策分析表:中央大学教授 中條武志氏
(7)ま、いいか防止メソッド:JUKI品質保証部 光藤義郎氏
特に、(7)の「ま、いいか防止メソッド(MIBM)」は、独自開発されたものである。従来であれば、個人の問題としてとらえられがちな不遵守を、組織としての問題ととらえ、具体的に実践可能な取り組みに置き換える手法である。親しみやすいネーミングであるが、組織として問題に取り組む姿勢も問われる。難しいがおもしろく、奥深い手法であると感じた。
これらの手法の開発には、病院の管理者、医師、看護師、コメディカル、事務のほか、産業界からは経営者、品質管理実務者が、また、学術機関から品質管理研究者等が参加し、さまざまな観点から検討を重ね、開発に4年以上の年月がかかったそうである。その熱い思いがひしひしと伝わってくる講演会だった。
平日の昼間という時間帯ということもあり、参加者多数とはいかなかったが、質疑応答の時間には活発な討論がなされ、時間が足りなくなるほどの熱い議論が交わされた。「医療のTQM」と限定されたタイトルではあるが、他産業にも十分活用可能な内容であったと思う。
本講演会に出席された方々が中心となって、各職場でこれらの道具を有効に活用し、質改善に取り組んでいただけることを願ってやまない。また、残念ながら講演会に参加できなかった方々も、書籍を手にとって、職場の質向上活動に生かしていただきたいと思う。
小谷野 圭子(練馬総合病院)