去る9月3・4日に、第19回ヤング・サマー・セミナー(YSS)が開催された。今年は(財)日本武道館の研修施設である日本武道館研修センターを利用した。参加資格は35歳以下の正会員・準会員であり、今年は企業から4名、大学教員2名、学生29名の計35名が参加し、講演と研究発表・討論が行われた。
初日は、今回のテーマである「ヒューマンエラー・失敗学」に関して、まず、全日本空輸(株)の江島聖志氏に「ANA整備部門におけるヒューマンファクターズへの取り組み」という題目で、航空界におけるヒューマンエラーの分析と再発防止活動についてご講演いただいた。次に、信託銀行関連会社常務取締役の宮崎敬氏に「失敗学を起点とした事務ミス防止の考え方」という題目で、事務におけるヒューマンエラーでの失敗学の考え方と活用法について、そして、電気通信大学大学院情報システム学研究科の田中健次先生には「回避すべきヒューマンエラーと歓迎すべきヒューマンエラー」という題目で、エラーによるトラブルを回避する方針についてご講演いただいた。
夕食と懇親会では、参加者同士の親睦を深めるとともに、研究内容に関する情報交換が積極的に行われた。
翌日は、電気通信大学の伊地知蘭美さんが「医療事故防止のためのダブルチェック」、東京都市大学の中村康人さんが「商品特性と消費者意識を考慮した口コミモデルの構築」、早稲田大学の久米将太さんが「MTシステムを用いた財務諸表分析〜粉飾決算判別への適用〜」という題目でそれぞれ発表を行った。最後に田辺三菱製薬(株)の堤雄亮さんが「医薬品開発における品質マネジメントアプローチ」というテーマで、医薬品開発における品質管理について発表した。
YSSは、会員同士の親睦を深めるとともに、自己研鑚の場にもなっている。こうした機会を与えてくださった学会の皆様に感謝するとともに、正会員・準会員を問わず今後も多くの若手の参加を期待したい。
藤原 京(早稲田大学)