6月6日(月)中央電気倶楽部において第110回講演会が開催され、100名を超える参加者が熱心に聴講した。
月桂冠(株)専務取締役製造本部長の川戸章嗣氏とオムロン(株)グローバルプロセス革新本部生産プロセス革新センタ長の石田勉氏に「京都企業のこだわりのものづくり」を熱く語っていただいた。
まず川戸章嗣氏から「月桂冠374年ものづくりへのこだわり」を、創業当時のお話から語られた。1637年徳川家光の時代に笠置の山奥から伏見の地へ赴き「ここの水が良い」と、大倉池のほとりにやってきたのが月桂冠の始まりである。この時代、冬の農閑期に酒造りに従事してもらえる仕組みをつくり、「玉泉」というお酒を売っていた。11代目の頃、海外の近代技術を積極的に導入し、防腐剤を使わず加熱処理で腐敗しない技術を確立した。
船により江戸へ持ち込まれ有名になった灘の酒に対し、明治以降、運賃の安い鉄道を使い、親しみやすいお酒として伏見の酒が全国に普及することとなった。
昭和35年頃、お酒に色がついたり、変質するという品質低下を防ぎ、紫外線から守るための除菌、除湿技術の研究を重ね、良いお酒造りのプラントを独自に作り上げ、今日に至っている。
石田勉氏からは「オムロンの「ものづくり」へのこだわり」が、社憲を中心に、わかりやすく語られた。
1933年、立石電機として創業。電気式のレントゲン写真機が創業のきっかけであった。サイバネーションを使った自動制御(当時は、スイッチを使った制御が主流)は現在では当たり前となったが、電子制御の走りであった。この自動制御へのこだわりが、自動券売機、自動改札機のニーズへとつながった。
オムロンでは、皆さんの困りごとを取り上げ、それを実現していくというソーシャルニーズに応え、技術開発に取り組むという歴史があり、それが我々のこだわりであると強調された。また「品質第一は我々の基本。いついかなるときにも良いものを作っていく、コストはその次に考える。」と締め括られた。
今里 健一郎(ケイ・イマジン)