平成23年5月18日(水)第354回事業所見学会が(株)ジェイテクト奈良工場にて、39名の参加で実施された。同社は、2006年に光洋精工(株)と豊田工機(株)が合併して設立されたトヨタグループの会社で、ステアリング・駆動部品・軸受・工作機械各事業を展開している。奈良工場は、1988年に世界初の電動式パワーステアリングを生産するなど、世界トップシェアを持つステアリング事業の主力工場である。
見学会は、会議室でステアリング事業・製品・技術並びに生産性向上活動JPS(ジェイテクトプロダクトシステム)の説明を受けた後、バスで敷地内工場へ移動、全員興味深く見学した。
JPSの3本柱として、可働率・直行率・やり終いが掲げられ、加工から組み立てまでの総合的ラインづくりであるフィッシュボーンプロジェクト活動が行われている。精密な加工ラインが並ぶ5Sが行き届いた工場内では、具体的活動として、省機化・省工程・省人化が展開されていた。改善はモデルラインで実施、横展開されている。ラインを形成する個別工程には、その工程の役割・標準、改善成果等が整然と表示されていた。一例としては、短縮したライン長さが矢印で掲示されており、改善の見える化の工夫といえる。
工程見学する中で、各ポイントにおいて担当の方より改善事例説明が行われた。工場内にはモノづくり改革発信基地という掲示があったが、台車改善の例では特許化するなど、からくり工夫が随所に盛り込まれており、密度の濃い改善現場という印象を受けた。
会議室に帰り、質疑応答が行われたが、活発であり参加者の関心の高さがうかがわれた。
最後に同社のTQM取り組みについて、スタッフの自工程完結など、製品品質とともに業務品質改善状況についても説明があった。高度な技術・品質、徹底した現場改善・業務改善が一体となった姿を見学することができ、参加者にとり大変有用な見学会となった。
北廣 和雄(積水化学工業(株))