第16回品質機能展開国際シンポジウム(ISQFD 2010)が、2010年9月24日と25日の両日、USAオレゴン州ポートランド市で開催された。USAでの開催は5回目である。日本をはじめ、ドイツ、ブラジル、トルコ、スウェーデンなど11ヵ国の研究者・実務者が参加した。参加者総数は約70人、論文発表件数は26件であった。日本からの参加者は赤尾洋二先生を含め15名ほどであった。
初日は赤尾先生の基調講演から始まった。赤尾先生の講演は山形大学での講義で実施した折りたたみ自転車の開発に関する研究であった。それに続いて、USAのQFD機構のGlenn Mazur氏による基調講演があった。Mazur氏の講演は、新製品開発においてQFDは他の手法と組み合わせて使われることが多いが、どのプロセスのどこにQFDを組み入れると効果的になるかに関する講演であった。
基調講演の後は全体セッション形式で実施され、初日は8件の論文が発表された。2日目は16件の発表が2つの並列セッション形式で実施された。最後に全体形式のパネルセッションで、QFDに関する様々な質疑応答が行われた。日本からは新藤久和先生がパネラーの一人になった。
発表論文の分野は化学産業(1件)、消費者製品(1件)、教育(3件)、行政(1件)、健康(2件)、情報技術(4件)、物流(2件)、マーケティング(3件)、QFDの実践(6件)、信頼性(1件)、サービス(1件)、戦略(1件)などの多岐にわたり、QFDの応用分野の広さがよくわかるシンポジウムであった。
QFDの普及・発展に貢献した個人に授与される赤尾賞の今年の受賞者はUSAのCarey W. Hepler氏であった。また、学生奨励賞の受賞者はUSAウィチタ州立大学のAli Ahmady氏であった。さらに、今年は様々な優秀発表賞が授与され、日本からは山梨大学の笠井易氏が表彰された。
来年の第17回ISQFDはドイツのシュトゥットガルトで2011年9月21日〜23日に開催予定である。また、第18回ISQFDは日本で開催される予定である。
渡辺 喜道(山梨大学)