5月18日(月)大阪中央電気倶楽部において、関西支部主催の第105回講演会が標記のテーマで行われた。折からの不況に加えて新型インフルエンザの影響もあり、当日欠席者も出る中、70名の参加者が熱心に聴講した。
サントリー酒類(株)ビール事業部商品開発研究部技術顧問の山本隆三様に「ザ・プレミアム・モルツ開発と成功」を、東大阪宇宙開発共同組合専務理事の棚橋秀行様に「人工衛星プロジェクト〜モノづくりは人づくり〜」のご講演をいただいた。
山本様は商品開発成功に一番大切なものは最初の「志」であり、世界最高のビールを作りたいという強い思いであることを強調された。それに加えてミニブルワリーという小規模量産できる設備設置や、苦み成分等を定量化する技術開発、さらに開発ストーリーを語ることを通じて消費者がファンに変わったことが成功につながった。これらはサントリーのDNAである「やってみなはれ」「やらせてみなはれ」の精神が基本にあったからであるとのお話であった。
棚橋様は東大阪の3Kのイメージを変える何かをしたいと、「夢で始まり情熱を結集しこころ豊かな社会を創る」という理念の下、夢・志を希望につなげ、それを目標にしてPDCAをやり続けることを強調された。途中には大変なこともたくさんあって、何度止めようかと思ったこともあったが、若者のひたむきさに打たれて続けられたというお話であった。
山本様は技術屋らしい、棚橋様は東大阪の経営者らしいお話振りと好対照であったが、お二人とも「志」を大切にして一所懸命実現に努力する大切さを語られた。長引く不況、そして不況が過ぎた後に来るであろうこれまでの価値観とは異なった社会に向けて、真に人間が幸福になるためには目先の損得ではなく、本当にやりたいことに大きな「志」を持つこと、そしてその達成にひたむきに努力してゆくことが大切であるということを改めて思い直した講演会であった。
鱠谷 佳和(関西支部幹事)