2009年4月14日、第341回事業所見学会がNITE製品安全センター(東京都渋谷区)において30名の参加を得て開催された。NITEは、大阪本部、東京本所の他に全国8支所があり、生活安全、バイオテクノロジー、適合性認定、化学物質管理の4分野で、経済社会の発展と国民生活の安定を支える技術的な基盤の整備に携わっている独立行政法人である。プログラム前半はセンター施設の見学、後半は講演・質疑という二部構成であった。
前半の見学では、事故を起こした実物を前に事故原因の技術的な説明をNITEスクエアで受けた。一酸化炭素中毒事故を起こしたガス給湯機やFF式暖房機、皮膚障害を発症したデスクマット、爆発した圧力なべや湯たんぽ、燃えた扇風機・テレビなどと事故再現ビデオを見た参加者から、教育用としてビデオ貸し出しの希望が出るくらい製品安全を生々しく訴えるものであった。次いで、国際的に高い評価を受けているバイオテクノロジー施設を見学した。微生物利用に関する知的財産保護への努力、気の遠くなるような作業を要するゲノム解析の苦労に触れた貴重な体験であった。
後半では、「くらしの安心を未来につなぐ」と「製品安全とは何か」の講演が行われた。講演者の長田敏氏は大阪から日帰り出張で臨まれたとのことで、専門家らしい知見の深さと自信をもって丁寧に質問に回答されている姿が印象的であった。製品安全に関する官民の相互分担や、リスクアセスメントに基づく事業者独自の安全対策が重要性を増すとのことである。
見学会終了後、期せずして意見交換のための懇親の場が設けられたのは非常に有意義な機会となった。
事業所見学をお引き受けいただいたNITEの矢野友三郎氏、運営をご担当いただいた宮川七重氏をはじめ、関係者各位の心のこもった見学会であった。NITEスクエアは一般公開されており、事故再現ビデオの貸し出しもできるとのことであり、多くの方の利用を願う次第である。
村川 賢司(前田建設工業(株))