2008年9月2日(火)、第336回事業所見学会が、大阪港にある関西電力(株)南港火力発電所で行われた。
はじめに、関西電力グループが取り組まれている諸問題に対するこの発電所での取り組みについて、詳細な説明を伺った。安全性(防災対策)への配慮、電気需要の増減に柔軟に即応できる高頻度起動・停止を可能とする設備、環境負荷を低減するための特色ある工夫等についての説明があった。
その後、甲子園球場12個半という広大な敷地をバスで周り、発電所の全容の説明を受けた。また、各ポイントで、特徴ある施設・設備を実地に詳細に見学した。蒸気タービンから、取水から放水にいたる水の循環・利用等までの発電所の仕組み全般の中で、もっとも参加者が注目したのは、低炭素社会の実現に向け精力的に取り組まれている、排煙脱炭技術の研究設備であった。化学吸収法により火力発電所の排ガスから二酸化炭素を分離・回収する技術の研究に着手されたのは今から20年近く前だそうで、関西電力の先見の明が光る。この排煙脱炭パイロットプラントで使われている吸収液は、排ガスの二酸化炭素の90%以上を分離・回収する能力があり、世界最高の二酸化炭素吸収液という評価を得ているそうである。これらの技術、設備について、参加者の興味はやまず、見学を終えた後の質問タイムでも質問が相次ぎ、予定時間をオーバーして主催者側にお答えいただいた次第であった。
この発電所は、緑化にも配慮、スポーツ施設を併設していることから、市民の憩いの場ともなっている。また、電気やエネルギー、環境に関する学びの施設も複数設置され、小中高生の訪問も非常に多いと聞く。関西電力の、環境との関わりが深いエネルギー事業者としてのプライドと底力、社会へ貢献する姿勢を強く印象づけられた事業所見学会であった。
橋本 紀子(関西大学)