第261回(中部支部第59回)の事業所見学会を6月30日、次世代高耐久集合住宅実験棟(ハウスジャパン)で開催した.
実験棟は、2005年愛知万博会場予定地である海上の森(愛知県瀬戸市)近くに位置した閑静な場所に建築されている.当日は、梅雨の最中にもかかわらず天候にも恵まれ本年3月に峻工した実証実験棟を見学することができた.見学会は、参加6社を代表して(株)竹中工務店より全体及び主要な開発内容の説明後、実験棟の見学へと続いた.
この実験棟は、SI住宅(S:スケルトン、I:インフィル)により住宅の資産価値を高めることを目的にNEDO(新エネルギー産業総合開発機構)からの委託を受けて開発が進められている.SI住宅は、高耐久性のスケルトンの中に住戸ニーズに応じた自由設計のインフィルが実現できることが特徴である.
このインフィルには、参加6社による様々なライフスタイル・コンセプトに基づいた提案が展開されている.主な特徴として、住戸面積縮小・拡張対応、間取り変更容易化、空間有効利用、用途変更及び環境負荷低減が挙げられ、それぞれについて安全性、居住性、耐久性、付加価値性などの性能評価並びに、SIインターフェースのルール、工程などの検証が実施されている.参加者は、ライフスタイルに応じた提案を実感すると同時に住戸ニーズの多様化も体験することができた.
一方、スケルトンでは、200年耐久のコンクリートに代表される長寿命化、滑り支承による長周期なスーパー免震装置や梁をなくしたフラット構造システムなど次世代の構造システム及び外観のフレキシブル性についても体験できた.これらの技術は、今後3年にわたって検証される予定である.特にスーパー免震装置には、阪神淡路大震災などの事例から、その性能について参加者の関心が高かったようである.
本実験棟で次世代の集合住宅を体験した参加者からは、スーパー免震装置やフレキシブルな排水システムなどが参考となる点としての意見が寄せられ、次世代住宅の方向性を実感できる見学会であった.
中部支部では、今後も会員のニーズに適格に応える見学会を企画する予定である.
古市久男(新日本製鐵)