4月18日(金)、好天に恵まれた中、第289回事業所見学会がサンデン株式会社・赤城事業所(サンデンフォレスト)で行われた。同社は自動車空調機器、自動販売機、ショーケース、冷暖房機器等、冷熱関連で高いシェアを有しており、98年にデミング賞、昨年には日本品質管理賞を受賞し、積極的な商品開発と品質管理活動で著名な企業である。赤城事業所は昨年8月に稼働し始めたばかりであるが、日本経済新聞社・優秀先端事業所表彰を受け、同社がサンデンフォレストと命名したことからもうかがえるように、先端的思想に包まれた21世紀型の「夢工場」である。
サンデンフォレストは群馬県の赤城山のふもとに64万uもの広大な敷地を構え、工場用地は22万u、残り約3分の2は森、川、遊歩道、草原などであり、自然との共生を目指した数々の配慮が為されている。例えば、ゼロエミッション(再資源化率ほほ100%)、完全無排水でエネルギー半減の塗装システム、近自然工法・ビオトープ(野生生物生息可能な生態系)化による生態系保存の環境整備。勿論ISO14001も取得している。6kmに及ぶ散歩道、バーベキュー広場、渡り鳥の来る沼、ほたるの里等々、とにかく「巨大な自然公園の一角に工場もある」というのが率直な印象。これほど豊かな自然と共に生産活動をしている事業所は他に存在しないであろう。社員ものびのびとしているように感ずる。
工場内部も最新の高効率ラインが稼働している(環境に配慮しているのは勿論のこと)。自販機、ショーケース、住環境機器等を製造しているが、内部に部品工場や物流センターを配し、部品加工から組立・物流まで一貫した生産ライン(しかも高度なIT化!)でリードタイムを何と従来の4分の1に短縮した。開発部門も有し、大部屋方式でナレッジを共有しながら顧客指向の新商品開発に取り組んでいる。
このようにサンデンフォレストは、およそあらゆる意味で先進的な事業所である。参加者の全員が同社の理念の高さ、挑戦的な姿勢にいたく感動し、また圧倒された見学会であった。
神田 範明(成城大学)