去る平成12年3月22日(水)、第257回事業所見学会が、滋賀県栗東町の滋賀県工業技術総合センターで25名の参加者を集めて行われた.
滋賀県は、環境問題には早くから関心を寄せている自治体であり、同センターは都道府県の機関レベルでは全国で初めてISO14001を認証取得している.
今回は、業界ニーズに対応した技術開発の推進、相談指導等の総合的な産業支援と環境マネジメントシステムの構築・認証取得のノウハウを用いての、県内企業への支援について学んだ.
まず、井上所長から工業技術総合センターの役割について説明があった.
センターを訪れる際、国道沿いに広がっていた広い水田からは想像できないが、滋賀県は製造業中心の産業構造をしており、付加価値生産性も全国トップであるという.その中で同センターは地域の知的資源を最適な形で統合する役割を果たしてきており、県内で相次ぐ理工系大学(学部)の開設に対しても産学の連携が活発に行われており、大学内のレンタルラボも3大学29室となっている.
次に、前川専門員からISO14001認証取得の意義について説明があった.
滋賀県では環境施策として、法規制の上乗せ、横だし規制があり環境に対して敏感な企業が多い.しかし、企業としては、法規制対応が精一杯のケースも多くISO担当職員も不足している.このような状況で、中小企業向けのコンサルティング機関として、まず認証取得することが地方公設試の役割と判断したことが、ISO14001取得の背景としてあった.認証取得以降、環境保全関連プロジェクト研究、県内企業のISO14001取得のための施策などに取り組んでおり、滋賀県庁全体もISO14001認証取得に取り組んでいる.
配付資料としていただいた<認証取得支援マニュアル−導入の手引き>は非常にわかりやすくまとまった冊子だった.
お二人の説明の後、産業支援の一環として設置されている各分析・計測室や実験棟などを見学した.
他の地方公設試と比べて決して大規模ではないが、地域に密着して産業振興や情報提供に効率よく機能していると感じた.
小林昭夫(日科技連)