第256回事業所見学会が、2000年3月3日(金)に、トヨタ自動車(株)高岡工場において開催された.参加者は約50名、募集後1週間で定員一杯となるほどの盛況ぶりであった.
1966年に操業を開始した高岡工場は、カローラ、ヴィッツ、bBなどの人気車種を生産しており、同社の工場のなかでも最量産車両工場として知られている.
今回の見学会は「高岡工場における品質つくり込み活動」をテーマとして開催され、ビデオによるボデー工程の紹介、ヴィッツ生産工程と総合排水処理場の見学、世界戦略車ヴィッツシリーズのひとつであるbBの円滑かつ効率的な立ち上げに向けた活動についての説明が行われた.
ヴィッツ生産ラインでは、工場側のご配慮により、通常の見学ルートから外れて工程の間近で見学させていただく事ができた.
全長1400mに及ぶ、明るく整理・整頓の行き届いた生産ラインであり、オペレータの安全確保、作業負担軽減など、人を大切にするための工夫や、コンパクトな手作り設備による自働化、効率化のための工夫、締め付けトルクなど、製品の品質を保証するための工夫を随所に見ることができた.
続いて見学した総合排水処理場は、「全ての排水を監視し、汚れた水を外に出さない」という徹底したシステムであり、環境保全に取り組む同社の積極的な姿勢を感じさせられるものであった.
bBの開発・立ち上げについての説明では、設計・実験・生産技術などに携わるスタッフが同じ部屋で作業する「大部屋方式」の導入や、設計をデジタル化し、コンピュータを使って車をまるごとシミュレーション(バーチャル検討)する手法の採用などによって、設計図面の品質を極限まで高めて試作を無くし、開発・生産準備期間を従来の18カ月から13カ月に短縮するとともに、不具合による設計変更の件数を従来の四分の一に低減した事例が紹介された.
質疑応答では時間を延長していただくほど活発な意見交換が行われ、また、見学後のアンケート結果も高い満足度を示した.
中部支部では、今後も会員のニーズを捉えた見学会を企画・開催していく予定である.
井上弘之(愛三工業)