去る9月10日から11日にかけて、第12回ヤング・サマー・セミナーがJR東日本蒲lのご厚意により同社総合研修センター(白河)において開催された。今年は、企業から1名、学生32名、大学教員4名の計37名が参加し、講演と研究発表・討論が行われた。
初日は、講師の先生に「今日の医療における質、特に安全性についてその実情と方向性」をテーマにご講演を頂いた。まず「Risk Management におけるincident/
accident 報告システムの位置付け」という演題で電気通信大学の田中健次先生に、次に現場の視点から「医療現場の安全問題」を自治医科大学の長谷川剛先生に、最後に「医療質保証・質改善のために何を研究するか」を東京大学の飯塚悦功先生にご講演頂いた。参加者は講演に熱心に聞き入り、理論と現実の双方向からものを考えていく重要性を再認識した。
講演後、JR東日本パーソネルサービスの関口部長に鉄道車両事故の生々しい現実と安全に対する姿勢についてのお話、鉄道関連教材・展示館の見学という大変貴重な体験をさせて頂いた。夜には懇親会が行われ、参加者の親睦を深めるとともに、研究内容に関する議論がなされ、大変充実した時間を過ごした。
翌日の学生による研究発表では、「患者状態に起因する事故防止の為の患者リスク評価に関する研究」を東京大学の高橋宏行君が、次に「医療機関におけるリスクマネジャーの役割に関する研究」を早稲田大学の徳久哲也君、「要因の重点化を利用した医療事故解析手法の提案」を電気通信大学の島倉大輔君、「組織事故防止用の模擬体験型実験の設計」を東京理科大学の山内太介君、星光貴君、折尾剛志君、最後に「タイムスタディデータに基づくケア実施状況に関する研究」を東京理科大学の斉藤田君が発表を行った。様々な切り口からの発表に対して、活発な議論が行われた。
本セミナーを通じて、21世紀を担う若者同士の交流を深めることができた。来年も是非参加したい。最後に、このセミナーをご用意して頂いた学会の皆様に感謝したい。
石坂 論之(東京理科大学)