第322回本部事業所見学会は、2007年4月23日(月)に、埼玉県狭山市にあるホンダ埼玉製作所で開催され、総勢67名の方にご参加戴きたいへん盛況であった。
当製作所は、ホンダの国内初四輪車一貫生産工場として1964年に操業を開始した。現在、従業員6,500名、年間生産54.6万台で、同一ラインで9機種13車種を生産しており、その活動の中で「桁違い品質」を実現している。
事業所説明の後、主要車種であるレジェンド・オデッセイ・CR-V等の、エンジン組立、完成車組立及び溶接ラインを見学した。現場は5Sが徹底された綺麗な工場で、部品在庫を持たないシステムを構築しており、空間を有効活用した部品供給ラインや無人搬送ロボット、また多くの従業員がラインの流れに乗ってテキパキと働いていたのが印象的であった。さらに溶接ラインでは、500台のロボットが休み無く動いており、約50秒に1台のペースで車が生産されていた。
現場見学後に講演があり、ものづくり活動の一端が紹介された。桁違い品質では、「ものづくりの現場・源流を中心に、お客様視点で企業活動のすべての仕事の質を高めること」を狙っている。その実現のためのキーワードが『人に優しい工程つくり』である。人に優しいとは、設計では「作りやすい車の設計」(現場で特別な管理をしなくても、ばらつきを小さく、お客様に不満を与えない車作り)、工程では「人が作業に専念できる工程」(特に多機種混合ラインでは重要)。このために現場では工程保証能力向上展開(生産条件の変化に対応した、不具合を出さない工程体質つくり)を実践しているとの説明があり、事例紹介が行われた。
最後に、創業者本田宗一郎氏にまつわるお話の中で、「高い技術があっても、志がお客様に向かっていなければ、高い品質は生まれない。」との言葉が心に強く残った。大変有意義な見学会であり、改めてホンダ関係者の方々に感謝申し上げる。
飯塚敏之((財)日本規格協会)