さる2007年6月22日(金)に第323回事業所見学会(中部支部第81回)が、三菱重工業(株)名古屋航空宇宙システム製作所小牧南工場にて開催され、『失敗学に学ぶ品質向上活動及び人材の育成』のテーマの下、46名が参加した。
同社大江工場は、先の大戦中に旧三菱重工業が「零式艦上戦闘機」を製造していたことで有名である。現在では大江工場、飛島工場、小牧南工場に分かれ、大江工場では部品の製造、飛島工場では航空機の構造組立と宇宙機器の製作、そして小牧南工場では航空機の最終組立、飛行整備、修理作業が主に行われている。
見学に先立ち工場長が挨拶されたが、その「テストフライトを許可するのは担当課長一人であるが、疑問があればだれでもそのフライトを止めることが出来る」という言葉に表されるように、安全のために全員がプライドと責任を持って作業していることに感銘を受けた。見学ではF-15戦闘機の整備工程から始まり、旅客機の胴体パネルリベット工程、F-2支援戦闘機の最終組立艤装工程、ヘリコプタの整備工程と、広い敷地内の格納庫を一通り巡って見学出来、ハイテクの結晶である航空機が一人一人の技によって製作されていることに参加者一同驚かされた。そしてその品質を支えるのは「人・質(じんしつ)」という説明があり、失敗学を取り入れた教育や、技能塾・検査道場に代表される育成プログラムによって構築されていることがよく理解できた。
開催日は生憎の梅雨空であったが、充実した見学内容と丁寧な説明とで非常に有意義な見学会であったと思う。また、新企画の参加者意見交換会でも参加者同士の活発な意見交換が為され、企画をした幹事として大満足の結果となった。翌日は梅雨の合間の快晴であった。その青空彼方に描かれた一条の飛行機雲を見て、飛行機の安全は三菱重工業のような着実な品質管理活動によって支えられていることを改めて感じた。
高田 亨(ブラザー工業(株))