2007年9月18日第328回事業所見学会が兵庫県明石市にある新キャタピラー三菱(株)明石事業所油圧ショベル開発本部で開催された。テーマは「生産能力倍増とリードタイム半減への取組み」であった。
まず澤田部長様のご挨拶と会社概要の説明を受けた。世界最大の建設機械企業のキャタピラーとの合弁会社が、新キャタピラー三菱(株)である。現在、主力商品の油圧ショベルの受注状況は大変好調で、2001年の年産11500台から2007年18000台、来年度は20000台を見込んでいる。
課題は「生産能力倍増とリードタイム半減への取組み」で、キャタピラー社を含めた活動をシックスシグマ活動で展開している。さらにTPS(Toyota Production System)を導入し、シックスシグマの手法を活用しながらムダ・ムラ・ムリを徹底排除することで、上記のテーマにチャレンジしている。
具体的な取り組みとして、9日かかるリードタイムを4日にするため、物流拠点を事業所の近くに設置していた。大型部品はトラックでラインサイドまで納入し、在庫を減らしていた。塗装時間の短縮のためには、パウダーの焼付け塗装を導入していた。大型の建設機械では世界ではじめてとのことであった。
シックスシグマ活動では、84名のブラックベルトがおり改善活動を推進している。その成果は税引き後の利益で23百万ドルに達していた。
事業所見学では、大型の建設機械が整然と生産されていく姿は圧巻であった。特に品質のチェックにおいては工程ごとに専門の検査員がおり、重要な品質チェック箇所を入念にチェックしていた。
質疑応答は、活発に行われ時間を15分オーバーした。最後に印象に残ったのが、現場に配属される新入社員は1年間は現場にいれず徹底的に教育するとのことであった。アメリカ的なシックスシグマと、日本的なきめ細かな現場管理のやり方を、うまくミックスした生産システムを見学できたことは有意義な見学会であった。
今野 勤((財)日本科学技術連盟)