2007年6月12日(火)に、第324回事業所見学会が「技術者育成と技能伝承を目指すプロフェッサー制度〜モノづくり革新に向けた技術・技能伝承への取り組み〜」をテーマに標記工場にて予定を上回る37名の参加者で開催された。会場には安全・品質・5S・設備保全・顧客満足を呼びかけるためのポスター・旗・のぼり等が所狭しと掲示してあった。
まず、三宅工場長始め関係者の方々より説明があった。同工場は1960年開設の由緒ある事業所で、敷地は16万uあり塩ビパイプを中心とした生産を行っている国内屈指の工場である。1998年以降新規採用がなく、2015年までに多数の退職者が出ると予想でき、優秀なベテラン社員層が薄くなることから、技能の伝承や技能者の育成のため「栗東積水プロフェッサー制度」を創り、認定された社員がものづくりのプロになるためのいろいろな仕掛けを行っている。この制度は、(1)必要な固有技能をすべてリストアップし、(2)技能レベルを5段階で数値化し、(3)技能レベルが一定の水準に達した社員を「プロフェッサー」や「マイスター」に認定する。
工場建屋の前では、社員手作りの琵琶湖水辺の様子を模したビオトープがあり、河川の掃除を環境ボランティアとして行っているのを聞き、環境管理にも強く取組まれているのがわかった。SPR工法やオメガライナー工法という環境にやさしい下水管路更正工法の説明を受けた。主力製品の塩ビパイプ製造工場では、「改善提案」の掲示スペースが設定されており、「Q・C・S・D」に分類され評価されていた。パイプの横送りラインの作業床には従業員の手書きで「近江八景」が描かれ、汚れることなく維持管理されており5Sにも注力されている。デミング賞やTP賞受賞でわかるように、以前からTQCやQCサークル活動、TPM活動に取り組まれているのもわかり、技術・技能伝承への取り組みをはじめ何事においても仕組みを作り、成果を得られているお手本にしたい工場だった。
高馬 勇((株)タクミナ)