2006年5月19日(金)に、第307回事業所見学会(関西支部)が福井県武生市の兜汕苟コ田製作所で開催された。終日かかる日程のため参加者は8名と少なかったが、村田製作所の最先端のテクノロジーとマネジメントについて、見聞を拡げることができた。
まず、事業所長の佐々木様より福井村田製作所の概要をご説明いただいた。村田製作所は生産子会社制をとっており、福井村田製作所はその100%出資の子会社、いわば村田製作所福井工場にあたる。海外を含む50社を超える関係会社の中で主軸をなす工場である。
続いて、品質管理部部長の江川様より主製品であるチップ積層コンデンサの工程やその特徴についてご説明いただいた後、実際に工程を見せていただいた。製品の小型化(現在の最小サイズは0.4mm×0.2mm)を支える技術(たとえば、誘導体シートにミクロン単位で電極を印刷、それを何枚も正確に積み重ねる技術など)の精確さは、まさに驚異のレベルであった。
見学後、品質管理部部長の鱠谷様より、部品メーカーとしての強みを作り上げるための工夫、モノづくりへのこだわりをお聞きした。原材料から製品までの一貫生産、また国内設計になぜこだわり続けるのか。本社、事業所、関係会社といった異なる組織の力を生かすための3次元マトリックス体制のもとで、研究開発を重視し、蓄積した要素技術を垂直統合し、さらに技術者の横のつながりを強めるために戦略的技術プログラムSTEPが配置されている。品質の作り込みのため、生産時点情報を活用したリアルタイムアクションシステム(PRASS)、より時間を必要とする品質管理業務へはQMISといったシステムが活用されている。これらの意欲的な取り組みについてのご説明の後、参加者からの活発な質疑にお答えいただいた。
村田製作所の高度な技術と、それを生かしていく組織作り、それを支えるモノづくりへの情熱を強く感じた見学会だった。
橋本 紀子(関西大学)
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