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第302回中部事業所見学会
(株)樹研工業 本社工場

 
掲載日:2005/11/18 ルポの一覧に戻る
去る2005年4月22日(金)に第302回事業所見学会(中部支部第74回)が、豊橋市の(株)樹研工業本社工場にて開催された。『最近のナノ切削事例(超精密金型切削)』をテーマに、39名の参加となった。

樹研工業は1965年に松浦元男氏(代表取締役社長)によって設立され、今ではパウダーギアと名付けられた世界最小の歯車(1/100万g、直径0.147ミリ、幅0.08ミリ)の開発に成功し、従業員約100名の規模ながら極小精密部品の世界トップメーカーにまでなった企業である。

工場見学の前に「新技術開発と管理技術定着」「やってはいけない競争」「ISOマネジメントシステムの落とし穴」など経営に対する独自の考え方を松浦社長からお聞きした。30年以上前のある品質問題をきっかけに徹底した生産記録の管理を開始し、ISOのマネジメントレベルをはるかに上回るトレーサビリティーが整備されている。「真似しようにも真似できない技術」が価格競争に巻き込まれないカギでもある。

工場見学では、世界最小の歯車を量産できる超小型高速射出成形機とその実演を目の当たりにし、プラスチック製品の常識を越えた微細加工に感嘆させられた。実際に動くこの歯車の用途はまだない。しかし、この技術力こそが樹研工業を比類のない存在としている。工場内にはことさらパフォーマンスを強調するような掲示物はなく静かで穏やかな空気が流れ、それが一層技術者一人ひとりの自信・誇りを際立たせるものに感じられた。

見学後の質疑応答では、松浦社長の人材育成に対する考え方、それに応え成長していく従業員の姿をご紹介いただいたが、樹研工業には一般的な人に対する「管理」というものが非常に少ない。それでも従業員の高いモチベーションと極限の技術に、ものづくり・品質管理とはあらためて人づくりであることを痛感させられた。
鈴木 信滋((株)魚国総本社)

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