1. はじめに
2005年5月20日、日本品質管理学会関西支部主催による第94回講演会が、表記のテーマによって中央電気倶楽部(大阪市)で開催された。
講演者は、国の立場でJISマーク制度を直接担当されている経済産業省認証課長 片山 啓(ひろし)氏。
参加者は54名。JISマーク表示に関係する工場担当者を主体に、今回の制度改正によって今後係わりが出てくるであろう審査員やコンサルタント関係者が熱心に講演に耳を傾けた
2. 講演会の主旨
工業標準化法の改正に伴い、新JISマーク表示に関する制度が、本年10月から開始される。これによって、従来の“製造業者に対して、国が審査し、JISマークを表示することを認定”していた制度が、今後は“国に登録した第三者の認証機関が製品試験と品質管理体制の審査をし、新JISマーク(すでに決定)を表示することを認証”する制度へと変わる。
本講演会は、参加者が制度改正の背景及び新制度の詳細を知り、加えて新制度を今後の日本の産業復興へどのように寄与させていくかを考える機会とすべく企画された。
3. 講演の項目
1)制度改正の概要
2)新JISマークの仕組み
3)自己適合宣言
4)制度の信頼性確保
5)JISマーク制度の将来展望と課題
4. おわりに
講演後の終わりに、30分以上の質問時間が用意されていたが、参加者それぞれの立場から数多くの質問が出て、関心度の高い時宜を得たテーマであったことが伺えた。
JISマークの表示対象製品は、ピーク時の約1200品目(昭和59年度末)から526品目(平成16年度末)に減少傾向にあり、JISマーク離れが心配されている。
今回、適合性評価を意図した全ての製品規格を対象とする新制度への移行に伴い、
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製品規格としての整備が遅れている環境、高齢者・障害者配慮製品分野などで魅力ある製品(規格)を開発することで、製品差別化のツールとして活用できる |
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海外の調達先において購買製品に関する品質管理のツールとして活用してもらえる |
(以上講演者要旨より)など、JISマークが復活する可能性が大いにあることを筆者も実感した。
田川 博一(田川マネジメントシステム事務所)