平成17年5月27日(金)に第306回事業所見学会(中部支部第75回)が、静岡県豊岡村のヤマハ竃L岡工場にて開催された。テーマを『サイレント楽器の魅力的商品開発の取り組み』とし、22名が参加した。
ヤマハ(株)の中でも、豊岡工場は世界一の管楽器製造工場としてYAMAHAのブランド・スローガン「感動を・ともに・創る」のもと、昭和45年より創業を開始。現在では電子楽器や弦楽器、半導体・IT関連などの技術研究開発にまで活躍範囲を広げている。
工場見学の前に、CS推進部品質保証課長の高塚様より管弦打楽器事業部の基本方針「専門性と匠の世界を併せ持つ、管弦打楽器の総合メーカー」に沿った事業展開についてご説明いただき、続いて同課主査の佐藤様のご案内で、管弦楽器の製造工程を見学した。楽器の製造工程は一般的な工業製品を生産している現場とは一味も二味も違って、各工程で多くの従業員が素材の叩き出し加工から部品の溶接、最終検査に至るまで、熱心に仕事をしていた。その姿はまさに職人技で、驚きの連続であった。技能伝承はさぞ大変であろうと思いながら見学をしていたが、熟練工と思われる壮年の方と、若い方とが一緒になって仕事をしておられる姿は非常に印象的であった。
見学後、商品開発部副部長の渡辺様より、サイレント楽器の開発秘話とデモンストレーションをしていただいた。「サイレント」と言っても、完全な消音ではなく、楽器を演奏する人が感覚を損なうことがないように開発したという話を伺ったが、昨今の住宅事情でも楽器の演奏が楽しめる工夫がなされ、顧客満足を追及した製品開発が徹底されていることに感銘を受けた。なお参加者の一人がサイレントバイオリン・ギターを飛び入りで演奏し、その感動を感じていた。
ヤマハ鰍ナは、楽器だけでなく、演奏を楽しむ・音楽を楽しむという音楽文化そのものを創造していることを強く感じた見学会であった。
水谷 政昭(新日本製鐵(株))