2004年10月21日(木)第300回事業所見学会が、中之島新線(地下鉄工事)土木工事第1工区において『地下鉄土木工事における「見せる現場造り」』のテーマで開催された。前日には各地に大きな被害をもたらした大型台風23号が大阪を通過し、見学会の開催が危ぶまれたが、当日は見学会日よりの天気となった。
中之島新線は、京阪電気鉄道(株)と大阪府、大阪市などが出資する第三セクターの中之島高速鉄道鰍ェ鉄道施設の建設・保有を行い、京阪電気鉄道鰍ェ列車を運行する玉江橋〜天満橋間複線2.9キロの地下鉄で、平成20年度の開業に向けて工事が進められている。
今回訪問した第1工区は、国際文化ゾーンであるホテルや国際会議場の前での施工となるため、都市土木の問題点となる環境面(騒音・振動など)の対策はもとより、仮囲いを行わない「第三者に見せる現場造り」によって作業者のモチベーションの向上、さらには安全・品質のアップをねらっているという。
工事概要として、地下鉄工事で最も重要な品質管理項目である本体構築(躯体)の出来型管理や、SMW壁の鉛直精度などの説明を受けた。また、環境デザイナーのアドバイスを受けて行われている、工事中の景観・環境整備対策についてはCGイメージを交えながらの解説をしていただいた。
その後、仮遊歩道での「野鳥のオアシス」「香りの小径」「針葉樹の森」という3つのテーマによる植栽のゾーニング、10基の風力発電機を設置してクリーンエネルギーを利用した環境対策、既存施設をリサイクルした花壇やベンチ、緑化占用柵の様子などを見学した。実際に手の行き届いた植栽と目の前の工事現場を見て、説明通り新しい工事スタイルを実感することができた。
個人的に、この新線が開通することによって、京都・枚方方面から関西支部事務局がある堂島へのアクセスが非常に良くなることを楽しみにしている。
小林 昭夫(日本科学技術連盟)