さる7月30日(火)、第283回(中部支部第67回)事業所見学会が静岡県浜松市の本田技研工業株式会社浜松製作所にて開催された。テーマは『時代の変化に機敏に対応できる企業体質の強化を目指して』。開催通知発送からわずか3日目で定員50名をオーバーするほどの高い関心の中での見学会となった。
浜松は本田技研工業創業の地、また当製作所は二輪車「ドリーム号」が生まれた地で、誕生から今日までものづくりの拠点として歩み続ける、中・大型二輪車を年間約24万台、自動車用オートマチック・トランスミッションを約240万台、汎用エンジンを約380万台生産する従業員数4,300名の製作所である。
今回は、二輪車組立・汎用エンジン組立ラインを見学させていただき、二輪ラインでは全てのカテゴリーの載る共用パレット治具、部品のモジュール化、組立てられるオートバイを上下させ常に作業し易い高さを保つ工夫、床を改造し疲労度30%低減等の改善事例の報告を織混ぜて案内いただいた。
見学後の質疑応答では、汎用エンジンの使用条件を把握する工夫、海外でのQCサークル活動の推進状況、自動化の状況と考え方、モジュール化のねらい、全員が揃いの真っ白な作業服、設備のメンテナンス体制、教育訓練、中国に対抗するための工夫等活発な討議が行なわれた。
討議の中でお話のあった『二輪車のコピーが出回っている、それを見る限り中国の加工技術は高い。しかし模倣までである。新しいものを創り出すことは日本の領域と考えている。HONDAの考え方に「小さく産んで大きく育てよ!」がある。「二輪車から入って四輪車へ」もその例である。今後の海外進出でも、汎用エンジンの組立から入ることも有り得る。要は相手先(顧客)の要求に応じた形での企画が必要なのではないか』という言葉の中に、創業以来受け継がれるHONDAのDNA、「時代の変化に機敏に対応できる企業体質の強さ」を見た思いがする見学会であった。
関 康彦(豊田合成(株))