277回の事業所見学会は「循環型社会を目指す最新資源リサイクルプラント」をテーマに2002年2月8日（金）川崎製鐵（株）千葉製鉄所内に建設された「川鉄サーモセレクト方式・千葉プラント」を33名の方々が参加して開催された。
まず見学センターにて概要説明のビデオ放送と同社環境事業部日下部太郎氏からサーモセレクト方式の特長として①ゴミを燃やさずガス化溶融するためダイオキシンを含む有害物質をほとんどゼロにおさえる。②ゴミを100％再資源化する。③ゴミの持つエネルギーはクリーンガスとして回収し発電などに利用できる等の説明を受けた。
資源リサイクルプラントは従来のゴミ処理施設の外観とは大きく違い、縦100m、横55m、高さ23mで煙突も無く、壁面に大規模な太陽光発電システムが取りつけられており、プラント内の圧縮、乾燥、ガス化溶融、スラグ・メタル化の各工程の設備も小規模な化学工場のようであるが日量300tのゴミ処理能力を持ち産業廃棄物も処理している。
同方式は小規模、省スペース、低コストでの稼動が可能な事から現在ドイツ南西部のカールスルーエ市では発電時に得られた温水を地域の冷暖房熱源として各家庭に供給しており、日本でもゴミ処理場新設、ダイオキシンの発生、飛灰、ゴミ埋立処分地に悩む地方自治体・企業からも注目が集まっている。
プラント見学後の質疑応答では処理能力、建設コスト、他の処理方式との相違点、製鉄技術を活用した新規事業展開等に関する討議が行われた。
現在日本ほどゴミを燃やしている国は無く、世界のゴミ焼却施設の7割が日本にあるといわれているが、今回の見学は今後の循環型社会への対応が学べた大変有意義な見学会であった。最後に今回の事業所見学を快くお引き受けいただいた川崎製鐵の方々に参加者を代表して感謝申し上げる。
中泉 純（日本規格協会）
