11月30日に、文久元年(1861年)創業の同店にて秘法の太鼓作りの作業と太鼓館の見学会が18名の参加で開催された。
同店の越智 恵氏(太鼓館室長、学芸員)より概要をお伺いしたのち工場にて、胴の表面仕上げの作業と皮を張る作業とを見学した。
表面仕上げは手の感触を頼りに鉋で仕上げていくという「匠の世界」、皮を張る作業は・皮のヘリに竹を通し縄をかける、・台座にのせ、台座の間に四方から楔を打ち込み、台座を押上げて皮をのばす、・皮の表面を槌で叩く、・音を確かめ(百年後の音を思い浮かべて)良いところで鋲を打つ(1尺5寸の太鼓で約250個必要)。(絵がないのでわかりにくいと思う)
参加者から、ロボットや自動機を活用したらとの質問に越智氏は「アイデアは買いますよ」(笑)と答えた。
太鼓屋が浅草寺周辺で店を開いたのは、皮革と鉄鋲が手に入り易いという条件が整っていたからだそうだ。太鼓館(雷門近く)は、昭和63年に開館され、収蔵されている太鼓は約600点(アジア、アフリカ、ヨーロッパ、アメリカ等)、文献図書、視聴覚資料も各々3000点を越え研究者への閲覧、利用の便宜をはかっている。この様な博物館は世界で当館のみとのことだ。
また展示品に触れたり叩いたり実際に演奏してみたいという要望にも応えている。
ちなみに同店のカタログによると神社仏閣用の長胴太鼓は(直径3尺、本欅製)13,500,000円とあった。
ただし、当日参加者が入れ替わり立ち代って叩いた太鼓は1億円をこえるとのことでした。(ばちが当たらなくてよかったですね)。
太鼓は神と人、人間同士の伝達手段などとして伝承されてきたわけですが、その太鼓を技能によるものづくりで続けてこられた宮本卯之助商店に敬服した一日でした。
嶋 津 司(タマチ電機)