日本品質管理学会創立30周年を記念し、本年8月より8回にわたり企画された「ISOマネジメント・システム公開講座」の第1回講座が8月24日「国土交通省におけるISOマネジメントに関する取り組み」をテーマに66名の参加者により開催された。今回は何時もの学会行事とは異なりISO審査員の方々の参加が多く、テーマに対する審査員の関心の高さを改めて反映した講演会となった。
講演では、国土交通省内でISO9000's推進の中心的な立場におられる大臣官房技術調査課 課長補佐乙井康成氏より、
- 国土交通省における公共工事へのISOマネジメント等の活用のあり方について、モデル事業や試行工事の実施状況報告、及び建設産業に対するISO9000's・ISO14001とプロジェクトマネジメント(PM)についてのアンケート調査結果
- 平成13年3月に閣議決定された「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」に基づくガイドライン(適正化指針)との関係
- 国土交通省におけるISO14001とプロジェクトマネジメント(PM)の取り組みの現状について
の3点について主に説明があった。
国土交通省では、審査登録制度の一層の普及と、一定規模以上の建築業者の認証取得が進んでいる現状と、審査内容、審査員の資質に関し一定の評価が得られたとの調査結果を受けて、認証取得が入札条件としての環境が整いつつあるとの認識を深め、従来からのモデル事業から一歩進めた試行工事を本年度以降も積極的に推進する方向性が示された。
また、ISO14001とPMの導入については、導入した場合の有効性の検討を国土交通省内部でCAL/EC(公共事業支援統合情報システム)との連携で進めている段階であるとの説明があった。
講演後の質疑では、建設業を中心とした関心の高さを反映して、公共工事の入札条件としてISO9000's認証取得の取扱に質問が集中し予定時間をオーバーして活発な討議が行われた。特に閣議決定された適正化指針との関係では、国土交通省の見解と指針の内容とに微妙なスタンスの違いがあることが認識され興味ある内容であった。
池田晃三(竹中工務店)
|