第251回事業所見学会(6月16日水)は,まだ6月だというのに30℃を越える暑さの中で「リサイクルカートリッジの品質保証」をテーマに開催されました.
企業,大学においても紙媒体を利用して複写するということは日常的に行われている. しかし,その複写に利用したトナーがどのように回収され再利用されているのか,また再利用においてどのように品質が保証されているのかは我々にとって大きな関心事ではなかった.
そのプロセスを世話人3名を含め23名で詳細に見学させて頂いた.
人事総務センター竹本総務 荒木 保部長,ARO部(Asset Recovery Operation)鈴木昭一部長から工場概略説明やリサイクルカートリッジプロセスのビデオや説明を受けた.
91年ころは,工場内および市場回収品の埋立量は2千トンにも達していたことから自社の特徴でもあるレンタルシステムの強みを生かしてリサイクルシステムの展開を開始した.
事業所の方針として,商品のリサイクルの実現や廃棄物ゼロへの挑戦を掲げて94年にはカートリッジ・リサイクル・ラインを新設し,ほとんどの部品がリサイクルされ回収したカートリッジは比重比で約90%までリサイクルされるようになった.
市場から回収された商品の再利用および資源化のプロセスは,カートリッジは分解・洗浄・消耗品交換し再利用する. また,トナー容器は分解・洗浄・消耗品交換し再利用し,抜き出したトナーはセメント原料に,再利用できない物は燃料に展開して行く.
この生産工程では,品質第一主義にたち,再利用可能であっても品質を保証するうえで十分に技術的確認が取れないかぎり実施しないという方針をとっている.
リサイクルされることは良いことであるが,市場において品質が保証されることは重要であることからすれば当然かもしれない. 富士ゼロックス(株)社が目先の目標にとらわれない姿勢が早くからリサイクルに取り組むことができた点であると思われる.
回収されたカートリッジ,トナー容器を選別,分解等を実施している南開工業(株)の千津島工場を引き続き見学した. 全国から回収された物を機械選別・人による選別と大変な手間がかかっていることを認識させられた.
市場には容易にリサイクルできない商品がすでに出回ってしまっている. これらは,この活動前に開発され市場に提供された商品が含まれている.
すなわち,リサイクルを容易にするためにも設計段階からの作り込みが重要であることを再認識した. 我々は,リサイクルを考えるとすぐに100%できていると考えがちである.
しかし,現段階で技術的に可能な場合と資源化,燃料として利用して行くことも考慮する必要があることを再認識させられた見学会であった.
この見学会を調整して下さった吉澤正孝氏(富士ゼロックス(株))に見学者一同深く感謝申し上げます.
小野 道照(玉川大学)