第67回講演会(関西支部第11回)が7月23日大阪の中央電気倶楽部で2名の講師を招き89名の参加者を得て開催された.
テーマは「品質管理の原点を追及する企業に学ぶ」であった.
■講演1 品質工学の観点からみたアメリカ企業の再生について
田口 玄一 氏 (株)オーケン取締役社長
研究開発で一番重要なのはお客に行ってから長く使えることであり,スペックに合致するのが目的ではない.電電公社は物作りをしないため,物を作る前に信頼性を保証できる設計をしなければならない.
そのためにロバスト設計を行うことが重要である.あるテスト条件で機能しないときに設計を変えて悪い条件でも機能するようにしてはいけない.これは調整であり,ロバスト設計ではない.
品質工学ではまず設計を18通りし,あらゆる条件でテストし一番ばらつきの小さなものを探すことをを薦めている.また研究はできる限りテストピースで行う.日本の研究のまずさは実物にあり,そのため技術屋は忙しい.アメリカでは実物の研究はやっておらず,日本より能率的であるといえる.
研究開発の進め方について知らないことがあり,色々得る所が多かった.
■講演2 コマツにおける品質管理活動
中野 至 氏 KOMATSU生産本部 品質保証部主任技師
コマツは37年前に製品(ブルドーザー)の耐久性を向上させるために品質管理活動を導入した.その後TQCを推進しデミング賞,日本品質管理賞も受賞した.この活動の中でコマツ独自に「旗管理」「QCストーリー」を生み出してきている.途中形式的なQCの見直しを行い,経営的な部分からTQMの考え方を外していった.
現在コマツの品質管理活動はTQM,TQCという言葉が使われていない(物作りの管理手法としてはQCが重要であるという認識に変わりない).そうしたのは形式的な品質管理活動にならないようにするためだったとのことである.
手段はどうであれ形式的な事にはとらわれず継続することが一番重要でないかと感じた内容であった.
吉田 節