さる4月9日木第234回事業所見学会(関西支部)が放射光利用研究促進機構(財)高輝度光科学研究センターで『これからの科学を担う夢の光「放射光」の研究〜SPring・8〜』をテーマに29名の参加のもと開催された。
当日は、現地までの交通事情で貸し切りバスでの見学で小雨の中ながら壮大なSPring・8(141ヘクタール)と播磨科学公園都市の見学もスムーズに出来た。
SPring・8は、大型放射施設の愛称Super Photon ring・8GeVの略で、兵庫県が開発を進める西播磨テクノポリス中核の播磨科学公園都市内北部に日本原子力研究所と理化学研究所によって平成3年から建設され平成9年3月に放射光の発生が確認された。
そして、(財)高輝度光科学研究センターは、公募により提案された共同研究課題を、外部専門家を含む研究課題選定委員会において選定した結果、3分野(マテリアルサイエンス分野
、ライフサイエンス分野 、放射光利用技術分野)の共同研究を平成9年度から5カ年計画で実施している。
放射光は、未来の光で、ほぼ光速で直進する電子が、その進行方向を磁石などによって変えられた際に発生する電磁波を、放射光と呼び、1947年に初めてアメリカで観測された。放射光は、電子の速度が速く、その進む方向の変化が大きいほど、より絞られた明るい光となり、また、X線などの短い波長の光を含むようになる。そして、物質の分析、反応、解析のための画期的な手段として、材料科学・地球科学・生命科学・医療等の幅広い分野の研究への活用が期待されている。
第3世代と呼ばれる大型放射光施設は世界に3つあり、その内の1つであるSPring・8を見学し時代の最先端を垣間見ることができ非常に興味深く、色々な意味での刺激にもなった見学会であった。
一部分ではあるが、紹介された従来のX線ではできなかった解析をこの放射光でおこなった結果をみると、今後大きく期待できる内容であった。
子安 弘美(松下電器産業)